井上路久 陶展 ～ 青東風にむかって ～

 

今回、京都陶磁器会館を訪問し、井上路久氏ご本人に直接お話をうかがいました。

井上  路久 氏

― 以前取材させていただいた、生活あーと空間ぱるあーとでの展示同様、今回も美しい青磁の作品が並んでいますね。
井上　自分は五条坂の窯元・素明窯の三代目になります。
もともと磁器をつくっていた窯で、祖父、父に続いて自分も作家になりました。
二人は白磁の作品を作っていましたが、私は「やるなら磁器。それも白より青のほうがいいな」と思っていました。
そこから自分なりに研究を進めているのが現状ですね。
ー 大学では日本画を学ばれていたとお聞きしましたが。
井上　はい。大学の４年間ではまったく器を作ったことはありません。
卒業後に訓練校、試験場に行って初めて焼き物を作りました。その後、家の窯に入りました。
ー 作品に絵を描きたいと思ったことはないですか？
井上　平面と立体の違いから、今のところは挑戦しきれていないですね。

微妙な色、形の違いをぜひ実際に手に取って、見て確かめてください！
 

ー ズバリ、今回の展示で注目ポイントはどこでしょうか？
井上　青磁にマット系の白釉薬をかけた作品があります。
それらは今までと違う作品になっています。青磁だけだと淡泊になりがちなのですが、そこに変化をもたせました。
非常に細かい違いかもしれませんが、手に取ってゆっくり見ていただきたいです。
ー 代表を務められる「うつわ男子」の活動も活発ですね。
井上　はい。工芸の盛りあげのために、との思いから仲間と一緒に作りました。
台北の三越で展覧会をしたこともありますよ。11月に今年も清水寺経堂で展覧会をします。
器の展示だけではなく、映像、照明などにも趣向を凝らした空間になっています。ぜひ楽しみにしていてください。

※うつわ男子facebook → https://www.facebook.com/utuwadansi/

ー 最後に［ことしるべ］読者にひとことお願いします。
井上　シンプルな中にも魅力を見出していただき、みんなが同じような形を作ったときにでも、自分の作品に手が伸びるような作品作りを目指しています。
ぜひ京都陶磁器会館までお越しください。

◆おススメ情報◆

井上路久氏が会員の工芸美術創工会では、よりよい展覧会にするため、現在クラウドファンディングで支援を受け付けています。（締め切り6月28日）
いろいろなコースがある中、井上路久氏の作品（直径18cm高さ7cmの鉢）がリターンされるコースもあります！
実はクラウドファンディングの実施を提案したのは井上さんだった、とのこと。言い出したからには、と作品提供を申し出られたそうです。
詳細コチラ → https://readyfor.jp/projects/soko-kai

●京都陶磁器会館

写真＝畠山崇

京都で活躍する作家・窯元の作品のみを厳選し、常設で現代の最新の京焼を展示・販売しています。　
会館案内やイベント情報など、こちらのホームページからチェックしてください！→http://kyototoujikikaikan.or.jp/

今回取材した井上路久氏も会員の工芸美術創工会展、会員の方の取材ページは以下からお読みいただけます。

★過去の創工会展紹介ページ

第28回展（2016年）

第29回展（2017年）

第30回記念展（2018年）

★創工会会員の方の過去の記事もこちらから読めます。
・伯耆正一氏（2018年6月1日　京都陶磁器会館）　
　・安東智香氏（2018年7月24日　ギャラリー恵風）
　　・張　義明氏（2018年10月19日　京都陶磁器会館）
　　・德力竜生氏（2018年10月31日　京都万華鏡ミュージアム）　
・伊砂 正幸 氏　市川 博一 氏　藤井 收 氏　上田 順康 氏（2018年11月6日　生活あーと空間 ぱるあーと）
・今井裕之氏（2018年11月22日　ギャルリー石塀小路 和田）
　・武田直之氏（2018年11月30日　京都陶磁器会館）　
・中村譲司氏（2018年12月14日　京都陶磁器会館）
・張義明氏、宮木康氏（2019年２月19日　ポルタギャラリー華）
・金井大輔氏、井上絵美子氏（2019年3月14日　ギャルリー石塀小路 和田）
・井上路久氏（2019年3月26日 生活あーと空間 ぱるあーと）
・今井政之氏ほか（2019年4月10日 生活あーと空間 ぱるあーと）
・井上路久氏（2019年6月21日　京都陶磁器会館）