安東智香 URUSHI・RADEN Exhibition
― ひかりのむこう ―
7月24日(火)より、ギャラリー恵風で開催される安東智香氏の個展「安東智香 URUSHI・RADEN Exhibition ―ひかりのむこう―」を紹介します。
会場の様子
秋の「工芸美術 創工会展」も楽しみな、漆と螺鈿を主素材に作品制作をおこなう安東智香氏に、本展の見どころ、作品作りに対する思いなどについて寄稿いただきました。
ここに、その文章を紹介いたします。
記憶を喚起する光と色をテーマに、漆と螺鈿(貝)を主素材とした作品制作をしています。
今展では壁掛け平面作品を中心に、酒杯やアクセサリ-等、日々の生活で楽しんでいただける小物も展示販売致します。
漆と螺鈿で表現される様々な光と色を楽しんでいただければと思います。
記憶を喚起する光
陽の光、海の波間の煌めき、月の輝きなど美しいそれらの光を見ると、人は感傷的になります。
それはなぜでしょうか。
私は光と色には記憶を喚起させる力があるからではないかと考えています。視覚や識別もまず色、次いで形に基づいているといいます。
幼い頃などの過去の記憶は次第に薄れていき、曖昧なものとなり、その輪郭のぼやけた記憶は、柔らかな光を纏ったようなイメージに近いと感じます。
そのため、美しい夕日や煌めく青い海を見た時など、その光が記憶を刺激し、様々な想いを起こさせるのではないでしょうか。
私はそのような人の記憶を喚起させる作品を作りたいと思っています。
作品は私の記憶に残る光と色を再構築したものですが、光と色には普遍性があり、私の作品を通して鑑賞者それぞれの記憶を呼び起こしてほしいと思います。
螺鈿の光と色彩は私を魅了してやまず、私の作品構想の基となっています。
螺鈿や貝を美しい、力がある、と感じるのは私だけでなく、人が遥か昔から持つ感覚でもあります。
人を魅了する「螺鈿の光と色彩とは何か」という問いが、私の作品制作の契機となりました。
作品には、私の幼い頃からの記憶に残る美しい青空や夕日、海の煌めきなど記憶に強く残っている光や色を表現していますが、私は光を放つという役割だけのために螺鈿を使用するので
はありません。光源の向きや見る角度によって透過させる、見えにくくするという螺鈿の性質を利用し、記憶を喚起させ、変換するフィルターとしての役割を螺鈿に持たせています。
これは私が記憶をテーマに制作と向き合った中で生まれた表現です。
ここから先、また新たな経験を重ねて行くことで、私の中の螺鈿の持つ意味も変わっていきます。
その変化を見つめながら、私独自の表現を模索していこうと思います。 安東智香
安東智香氏(ご自身の作品とともに)
安東智香氏 略歴(安東智香氏HPより)
2006 韓国 新羅大学美術学部 漆工芸科へ留学
2008 京都市立芸術大学美術学部 工芸科 漆工専攻 卒業
2010 京都市立芸術大学大学院 美術研究科 修士課程 工芸専攻 漆工 修了
2016 京都市立芸術大学大学院 美術研究科 後期博士課程 漆工領域 修了 博士(美術)
現在 京都工芸美術作家協会、工芸美術創工会 会員
そのほか安東智香氏のプロフィール詳細や過去の作品写真はコチラからどうぞ→http://chihyang.syncl.jp/
創工会HPはコチラ→http://soko-kai.com/
●安東智香 URUSHI・RADEN Exhibition ―ひかりのむこう―
◆会 場 ギャラリー恵風 2F
京都市左京区丸太町通東大路東入る 南側
電話 075-771-1011
HP http://g-keifu.com/
◆会 期 2018年7月24日(火)~7月29日(日)
◆時 間 12:00~19:00(最終日は18:00まで)
◆料 金 無料