9月30日~12月24日まで樂美術館で開催される「名碗 ロシアを旅した樂 ―樂美術館版 エルミタージュ、プーシキン美術館帰国展―」では、関連イベントとして、当代15代・樂吉左衞門さんによるギャラリートークが開催されています。実際に参加をして、ロシアで現地の方々と交流されて感じ取られた思いをお聞きしてきました。
今回の展覧会にはロシアを旅した樂焼の名品が一同に並んでいます。昨年から今年春にかけて国立近代美術館で開かれた「茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術」では、滅多に見られない長次郎の名碗が一同に陳列されたこともまだ記憶に新しいものです。今回樂美術館で開かれている「名碗 ロシアを旅した樂」は、「樂美術館版」と銘打っているように、近代美術館ではできなかったひと味異なる展観となっています。長次郎作 二彩獅子(重要文化財)、利休所持の長次郎 黒樂茶碗「万代屋黒」、三代道入 黒樂茶碗「青山」(重要文化財)といった歴代の代表作が一同に並んでいます。その名品とともに今回、館長樂吉左衞門さんたっての希望を受け、プーシキン美術館が協力、ロシアの子どもたちが描いた樂茶碗の絵や15代吉左衞門と子どもたちが制作したお茶碗なども加えて紹介されています。長次郎とロシアの子どもたちの絵、子どもたちは長次郎と樂歴代のお茶碗に何を見たのでしょう。何に興味を抱いたのでしょう。率直な絵がそれを語ってくれます。
第1展示室には、3代目以降の作品を展示しています。3代目・道入の作品を見てみましょう。
今回の展覧会では、第3展示室に初代・長次郎の作品を中心に展示しています。
ロシアにはプーシキン美術館のように、ワークショップを開催できる教室を併設している美術館や博物館があり、展示を見るだけではなく、実践の場としても機能しています。また、子どもたちが先生とともに美術を鑑賞するグループの姿も良く目にします・・・・・・
昨年から今年にかけて、京都・東京の国立近代美術館で、「茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術」を開催していただきました。長次郎の名碗が一同に並ぶ事は、今後私の生涯では実現できない展覧会であると感無量でした。しかし私にはひとつ心残りなことがありました・・・・・・