この度、一般社団法人千總文化研究所は、設立基調講演として千總コレクションの特別鑑賞会・講演会を開催いたします。本特集内で、随時ご紹介していきますので、ふるってご参加ください。
千總文化研究所は、京友禅の老舗「千總」の染織技術や美術品、歴史資料を学術的に研究するほか、現代の芸術や産業などに生かす知と創造の拠点を目指し、2017年に設立されました。千總が持つ有形・無形の文化財を核に、「京都」「技術」「美」という3つの切り口から研究、活動を進めて参ります。本イベントでは研究者の方々をお招きし、講演と共に作品をご鑑賞いただきます。作品に秘められた歴史や物語を通じて、未来へ向けた日本文化の創造について皆様と一緒に考えていきたいと願っています。
◆千總コレクションとは?
創業460余年の千總が、先人より大切に受け継いできた千總コレクション。江戸時代の小袖や千總が手掛けた法衣、友禅染や刺繍の染織品、四条派・円山派らの絵画作品、近代以降の京都画壇の作品群は、千總と京都の美術界・工芸界との密接なかかわりを物語ります。創業以来、京都の地で京都の皆様と共に歩んできた長い歴史が、千總コレクションには凝縮されています。千總の歴史に留まらず、京都の歴史を内包しているといってもよいでしょう。
この度一般社団法人千總文化研究所は、特別鑑賞会・講演会「千總と美術染織 ―新たな時代に求められた美と技―」を開催致します。シリーズ第5回となる本回は、宮内庁三の丸尚蔵館より太田彩氏を迎え、当時の宮内省から御下命を受けて千總が手がけた作品を中心に、美術染織の隆盛と歴史的意義について伺います。三の丸尚蔵館に収蔵されている美術染織品の原画となった絵画作品もご鑑賞頂きます。※定員に達しましたので、申込を終了しました。
この度一般社団法人千總文化研究所は、特別鑑賞会・講演会「千總と東本願寺 ―御装束師の姿―」を開催致します。シリーズ第4回となる本回は、「御装束師」であった千總の歴史を紐解きます。およそ460年前、千總の始祖である千切屋与三右衛門は法衣商として京都で商いを始めました。
当時、千切屋一門は三条通りに軒を連ね,近隣の寺院に法衣装束・金襴巻物を納めて繁栄しました。中でも千總は東本願寺との繋がりが強く、御用商人として僧侶の装束である袈裟や御堂を荘厳する打敷を数多く調進しました。「御装束師」とは何か。東本願寺より山口昭彦氏を迎え、京都の文化に根ざす装束の美、公家のしきたりである有職ついて伺うと共に、衣紋道に基づいた装束の着装の実演をご披露いただきます。千總に遺された装束の見本帖や図案資料と合せてお楽しみください。
この度一般社団法人千總文化研究所は、特別鑑賞会・講演会「千總友禅―束熨斗文様振袖復元製作をめぐって―」を開催致します。シリーズ第3回となる本回は、千總が代表を務める友禅史会所蔵の「束熨斗文様振袖」を題材に、千總友禅の技術と日本古来の染色に焦点を当てます。1555年に創業し、法衣装束商から呉服商となり染織の技を極めてきた千總にとって、先人が手掛けた染織品は、ものづくりの大切な原泉です。
細やかな文様表現と雅な色彩で江戸時代の友禅染の最高峰として重要文化財に指定されている「束熨斗文様振袖」。2015年から2017年にかけて、千總はその復元品を製作※。「染司よしおか」の協力を得て当時の色の再現を目指しました。5代染司よしおか当主の吉岡幸雄氏を迎え、製作過程を振り返りながら、日本の色の歴史と魅力、日本人が大切にしてきた繊細な美意識について伺います。京都国立博物館に寄託されている「束熨斗文様振袖」を特別に出品し、復元作品と2点並べてご鑑賞いただきます。
創業460余年の千總が、先人より大切に受け継いできた千總コレクション。染織品や絵画作品をはじめ、千總のものづくりの精神や京都の町との深い関係を物語ります。
千總文化研究所の設立基調講演となる「千總コレクションと共に、日本文化の未来を考える」第1回は、千總が所蔵する円山応挙作「保津川図屏風」(重文)について、日本美術史の第一人者である狩野博幸先生にお話しいただきました。全国からお申込みいただいた60名の参加者が、熱心に耳を傾けられました。
記念すべき第1回は、円山応挙(1733-1795)絶筆の作品として知られる「保津川図屏風」(重要文化財)をご紹介いたします。公開される機会が少ない特別な作品を、ガラス越しではなく、まじかでご覧いただけます。お話は、日本近世美術史の第一人者でいらっしゃる狩野博幸先生を迎え、千總と円山応挙の関係と保津川図屏風の誕生秘話から、芸術のパトロンとしての老舗の姿に迫ります。