私と江戸絵画 エピソード紹介③

私と江戸絵画 エピソード紹介③

細見美術館の開館20周年を記念して、[ことしるべ]とのコラボ企画として実施している「私と江戸絵画 エピソード募集」。応募いただきましたエピソードの一部をご紹介します。
抽選で細見美術館の年間パスポート(2018年4月~使用可)が当たる本企画は3月31日まで受付中です。ぜひご応募ください!

第一弾=伊藤若冲を中心にご紹介
http://event.kyoto-np.co.jp/feature/1510029665.0685/1515236013.3773.html
第二弾=抱一・其一など江戸琳派をご紹介
http://event.kyoto-np.co.jp/feature/1510029665.0685/1517806478.5171.html
 

【エピソード③】

「これは何?」と不思議そうに聞くアメリカ人の友人に、思わず笑ってしまった。
彼女は絵画が好きで、海外旅行の際には必ず現地の美術館に行くようにしているそうだ。
その彼女でも、「約200年も前に鼠たちを擬人化し、生き生きと婚礼の宴席を楽しんでいる絵画は見たことがない」。
確かに、同じネズミのアメリカの人気キャラクターは約100年前にスクリーンデビュー。それより遡ること100年も昔に、名もなき小さな動物にまで心を配り、彼らの一風景をユーモアを持って筆致する。
それは若冲の視点や技量もさることながら、古来から森羅万象すべての物事に畏敬の念を持って接する日本人の精神が背景にあると考えてしまうのは、私だけであろうか。


  作品=伊藤若冲 鼠婚礼図