2024年に生誕120年、没後50年となるのを記念して、風景表現を一貫して追求した日本画家・奥村厚一(おくむら・こういち/1904-1974)展を開催します。1976(昭和51)年、京都市美術館では奥村厚一の遺作展を開催し、本展は京都市京セラ美術館ではそれ以来の大規模な回顧展となります。
1904(明治37)年、京都市に生まれた奥村厚一は、京都市立絵画専門学校研究科へ進学すると同時に、西村五雲に師事しました。1929(昭和4)年に第10回帝展に《山村》が初入選して以来、官展を中心に京都や信州などの土地を題材に、精緻な筆致に鋭く季節を捉えた風景表現を発表し、1946(昭和21)年、雪に覆われ立ち並ぶ木々を清澄な空気の下に描いた《浄晨》で特選を受賞しました。しかしその2年後、1948(昭和23)年には山本丘人、上村松篁、秋野不矩らとともに創造美術を結成して官展を離れ、新しい日本画を創造する活動に身を投じます。それまでの日本画表現に疑義を呈し、自らの制作を厳しく問い直す中で、それまでの繊細な描線から、太い輪郭線や、面として大きく対象を捉えた風景表現を追求していきます。さらに描く対象を大写しにして、大胆に抽象化し、激しい波や雲などの自然現象や木々の生命感を強調する作風も生まれました。本展では、奥村厚一の初期から晩年の制作を各時期の代表作で振り返ると共に、京都市美術館などが所蔵するスケッチもあわせて展示します。このスケッチは、日本各地を旅し、厳しい自然や風景と直接向き合い、卓抜な構図と堅実な写生でその姿を克明に捉えた奥村の制作の原点を示すともいえる作品群となります。
「墨に五彩あり」という言葉があります。
濃淡の階調や巧みな筆さばきによって、墨のみでも色を感じさせる世界を創り出せるのです。中国から伝わった水墨画は禅の教えとともに広まり、日本で独自の発展を遂げました。
日本画家・堂本印象は墨を愛した一人です。
本展では、初期の水墨表現から、戦後のアンフォルメルに影響を受けた抽象画まで、印象の幅広い墨の世界を紹介します。
1941(昭和16)年に竹内栖鳳、菊池契月、西山翠嶂、川村曼舟、橋本関雪らにより発足した「京都日本画家協会」。会派を超えた会員相互の交流と、京都画壇としての後進育成を目的とした団体で、現在、京都を中心に活躍する約540人の作家で構成されています。
本展はすべての所属作家の作品を3年かけて一巡する展示の4巡目として、2024・25・26年の3年間で全会員の作品を紹介します。
今回は約140人の会員作家による新作を展示。
さまざまな画風が一堂に並ぶ本展で、現代京都の日本画の諸相をご堪能ください。
京セラギャラリーにて、「京都 日本画新展」入賞者の小谷光・森萌衣・山部杏奈による作品展を開催します。
「心地の良い場所」とはどのようなものでしょう。仕事、生活、人間関係など日々過ごす中で、ついつい何かに追われ、息苦しく感じることはありませんか?そんな時に、ホッと一息つくことは大切です。どこか心落ち着く、調和に満ちた「心地の良い場所」に身を置くことで、改めて自分と向き合い、新たな歩みを進められるのではないでしょうか。
本展では「京都日本画新展」入賞歴のある 3 名の若手日本画家が、「心地の良い場所」をテーマに、それぞれの世界観でギャラリー内の空間を演出します。 作家それぞれが魅せる「心地の良い場所」で、ゆったりとしたひと時を過ごしてみませんか。
明治後期に新しい日本画のあり方を模索しながら、数々の傑作を生みだした日本画家・菱田春草(1874-1911)。36歳という若さで世を去るまで、常に革新的な表現を求め続けたその画業を辿ります。本展では、春草が試みた表現を「線」や「空気・光」「色彩・古典」などの視点からご紹介し、ともに研鑽を積んだ横山大観、下村観山ら春草とゆかりの深い作家の作品と併せて画壇の挑戦者たちの表現に迫ります。また、本展は春草の故郷・長野県において初期日本美術院作家の代表的な作品を数多く所蔵している水野美術館の特別協力により、その貴重なコレクションのなかから選りすぐった作品による展覧会となります。
象(かたち)の会は、日本画、工芸、写真、書などの異なった分野の作家たちが集まり、美と技を追求することを目的に発足した会です。22名の会員による作品をお楽しみください。
長谷川等伯、伊藤若冲、曾我蕭白等…実にさまざまな画家たちが雪舟を慕い、その作品に学びながら、新しい絵画世界を切り開いていきました。その多様な雪舟受容を通して、「画聖」雪舟誕生の過程を明らかにすることを目指す特別展を開催します。
日本で最も長い歴史を持つ芸術大学である「京都市立芸術大学」の京都駅東地区移転を記念した特別展を開催します。
本展では、京都市立芸術大学の150年近い歴史の中で生み出されてきた数々の〈はじめて〉をテーマに、芸術資料館所蔵品を中心とするさまざまな作品・資料を4期に分けて紹介。
第1期と第2期では明治・大正の動き、第3期・第4期では戦後まで含み、全体を通して京都市立芸術大学の歴史と芸術資料館の主要なコレクションを一覧できる貴重な機会です。
日本美術院は、明治31年(1898年)に岡倉天心らによって創設されました。一時は中断しましたが、大正3年(1914年)横山大観らによって再興。以来、脈々と続いた在野精神を受け継ぎ、近代日本画の発展に輝かしい足跡を残してきました。昭和20年から開催されている恒例の「春の院展」も本年で79回を迎えます。現代日本画の力作が並ぶ本展は、常に新しい流れを皆さまにご覧いただいており、今回も同人の先生方の作品と厳しい審査を経て選ばれた入選作を一堂に展覧いたします。常に日本画壇をリードし続ける、日本美術院の巨匠から新鋭画家まで意欲溢れる最新作をこの機会にぜひお楽しみください。
芸術の発展に貢献する場として活用してほしいという堂本印象(1891-1975)の想いを受け継ぎ、「京都府立堂本印象美術館 現代作家展」を開催します。
記念すべき1回目は、優美な色彩による花の絵の画家として知られ、現在、京都の日本画の重鎮として活躍する渡辺信喜(1941-)をとりあげます。
親、子、孫まで三代にわたって日本画の美をそれぞれに追い求め、その功績で文化勲章を受章した上村松園、松篁、淳之の三人の画業を紹介する展覧会を開催いたします。日本画の美を継承してきた、上村家三代の作品を紹介いたします。
「京都 日本画新展」は、日本画を志す若手作家の創作活動の奨励・支援を目的として2008年度に創設され、以来若手日本画家たちの自由な表現の場として、また同世代作家たちとの研さんの場として毎年開催してきました。本年も受賞作をはじめ、推薦を受けた20~40歳代までの30作家の意欲的な新作を、推薦委員を務める日本画家の作品とともに一堂に展観します。伝統と文化が今なお根づく京都から、作家たちとともに作り上げる日本画の「今」をご覧ください。
十八世紀の京では、多くの絵師が各々の画技をふるいました。なかでも、伊藤若冲と円山応挙は現在も愛好者の多い、人気の絵師です。本展覧会では、相国寺と伊藤若冲の関係を軸に、相国寺と相国寺塔頭所蔵の作品を公開いたします。
また、Ⅰ期は円山応挙の傑作、重要文化財《七難七福図巻》全三巻と画稿、下絵を、Ⅱ期は伊藤若冲の傑作、重要文化財の《鹿苑寺大書院障壁画》五十面を一挙公開いたします。
堂本印象(1891-1975)は、苦労人の画家でした。
江戸時代より続く京都の造り酒屋の三男として生まれましたが、京都市立美術工芸学校在学中に家業が傾き、ほどなく父が病で倒れました。
そのため、卒業後は、日本画家を養成する上級学校の京都市立絵画専門学校(絵専)への進学を断念し、親と6人の弟妹たちを養うため、龍村平蔵の龍村製織所の図案家となり懸命に働きました。
画家への夢をあきらめきれない印象は、仕事の傍ら、欠かすことなく、写生に出かけ、絵を描き続けました。
大正7年(1918)、龍村平蔵より支援を受け、絵専に入学し、ようやく画家への道を歩み始めます。
本展では、画家になる前の若き日の印象が描いた女性像を中心に、大正ロマン漂う世界を紹介します。
多感な青年の印象に大きな刺激を与えた大阪、京都の女性たちや街並みをこの機会にお楽しみください。
象(かたち)の会は、日本画、工芸、写真、書などの異なった分野の作家たちが集まり、美と技を追求することを目的に発足した会です。22名の会員による作品をお楽しみください。
「院展」の名で親しまれている日本美術院は、1898(明治31)年、岡倉天心が橋本雅邦、横山大観、下村観山、菱田春草らと共に、東洋美術の正しい伝統を基礎として維持し、新時代の新美術を開発・樹立すべき事を指標として創設されました。
天心の没後、大正3年1914(大正3)年、横山大観らによって再興、以後一世紀以上に渡る歴史と伝統を誇ります。
京都における日本画の発展にも大きく寄与してきた本展は、今年再興第108回を迎えます。
明治40年に第1回文部省美術展覧会(略して文展)を礎とし、「帝展」「新文展」「日展」と名称を変えつつ、常に日本の美術界をリードし続けてきた日展。
当初は日本画、西洋画、彫刻の3部門でしたが、昭和2年に工芸美術が加わり、昭和23年に書も加わりました。
現在では、各部門において日本の美術界を代表する巨匠から、第一線で意欲的に活躍している中堅、新人を多数擁しており、世界にも類のない一大総合美術展として、全国の多くの美術ファンが関心を集めています。
竹内栖鳳は、近代京都の日本画界に最も大きな影響を与えた画家です。画壇革新を目指した明治期には、旧習を脱却した新たな日本画表現を模索し、西洋にも渡りました。技術が円熟に達した大正・昭和期には、画壇の重鎮として、第一線で活躍しながら多くの弟子を育成したことでも知られています。「写生」を重要視しながら、抜群の筆力で生き生きとした作品を生み出し、圧倒的な求心力で画壇をリードして、近代京都日本画の礎を作りました。現在では巨匠として多くに知られる存在ですが、そこへ至るためには、古い常識を破壊し、新たな地平を創生するエネルギーが不可欠だったのです。
本展では、京都市京セラ美術館所蔵の重要文化財《絵になる最初》をはじめ、若手時代から円熟期まで、栖鳳の代表作を集めて展示し、一堂にその画業を振り返ります。栖鳳の挑戦をより明らかにするため、本画に加え、制作にまつわる写生や下絵、古画の模写など、様々な資料もあわせてご覧いただきます。作品約130点で栖鳳の奮闘を余すところなく振り返る、大規模回顧展です。
日本画を学んでいた学生時代に、絵本作家になりたいと独学で絵本作りをはじめた谷口智則(1978年-大阪府生まれ)。黒い紙に6色のアクリル絵具で色深い独特な世界を描き、2004年『サルくんとお月さま』で絵本作家としてデビューを果たしました。数々の絵本に登場するサル、クマ、ゾウをはじめとするたくさんの動物たちや100人のサンタたちは、それぞれ自分の得意とする個性=「いろ」を持って描かれており、みんなで助け合い夢に立ち向かう姿や、どんな時でも相手を想いやる優しい気持ちが物語の随所に表現されています。
本展は、『100にんのサンタクロース』をはじめとする20タイトルの絵本の中から絵本原画を中心に、サンタの立体など300点を超える作品をご紹介します。また、会場では絵本や展覧会オリジナルグッズも販売いたします。谷口智則が生み出す絵本の世界で、あなた自身の「いろ」を探してみませんか。
明治、大正、昭和・・・・・・。時代のうねりの中で、いつしか忘れられてしまった実力ある画家たち。本展では、彼 (女)らが遺した素晴らしい作品を見つけ出し、紹介してきた星野画廊のコレクションから、「少女たち」をテーマに紹介します。女性たちの人生のさまざまが描かれた日本画と洋画、約120点を展示しますので、作品の放つ魅力を存分にお楽しみください。