1912年に設立され、文展、帝展、日展の中核として発展し、一世紀以上の歴史を刻んできた光風会。111回目の今回は絵画部、工芸部の会員、会友、一般入選の作品129点を展示します。
空間に広げて鑑賞された「屛風」と、手で開き巻きながら鑑賞された「絵巻」。
本展では、豊臣秀吉の花見行列を描いた《豊公吉野花見図屛風》や、室町幕府第11代将軍足利義澄が愛蔵していた《硯破草紙絵巻》など、細見コレクションを中心に、二つの異なる形式の絵画の特質に触れるとともに、個々の作品の魅力をお楽しみください。
2012年の放送開始以来、根強い人気を誇る長寿番組「岩合光昭の世界ネコ歩き」(NHK)。
ヒトだけでなく、テレビにかじりついて見入るお家のネコたちにも大人気の番組です。
コロナ禍で海外への取材が出来なかった2年7カ月を経て、2023年より待望の海外ロケが再開!岩合さんはこれまでにも増して、精力的に世界中のネコと出あう旅を続けています。
本展は、ヨーロッパに焦点を当てた写真展で、光とともに、歴史を感じる街並みや脈々と受け継がれてきた人々の営みの中で暮らす、魅力的で個性豊かなネコたちを紹介しています。
世界遺産に登録されている絶景とネコも多数、登場します。ネコたちのかわいい仕草や表情、動きはもちろん、ヨーロッパ各地の美しい風景もお楽しみください。
美人画で知られる日本画家・伊東深水の京都では19年ぶりとなる回顧展を京都府立堂本印象美術館にて開催します。
浮世絵の伝統に立ちながら現代風俗に向き合い、はつらつとした明るさの中に色香を漂わせる女性美を表現して独自の画境を築いた、深水の世界をお楽しみください。
美術館新館では日本画家・堂本印象が描いた女性像も紹介します。
※会期中展示替え有
前期:4月15日~5月6日、後期:5月8日~6月1日
京都を舞台に開催される国際的な写真展「KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭」。13回目となる2025年は「HUMANITY(人間性)」をテーマに14の展覧会を15の会場で開催します。
京都新聞ビル地下1F(印刷工場跡地)&1Fではフランス人アーティストJRの作品を展示。
2024年9月、JRと彼のチームは京都のさまざまな場所で移動式のスタジオを構え、道ゆく人に声をかけポートレートを撮影しました。ポートレートはコラージュされ、壮大なインスタレーションが京都新聞会場で展開されます。
明治時代、西本願寺の鏡如新門(大谷光瑞、後の第22世鏡如宗主)が、仏教の伝播を探るため、一宗派の事業として組織した大谷探検隊。三度にわたるインド・中央アジアの調査で、最後を飾ったのが隊員・吉川小一郎です。
彼は明治44年(1911)5月に日本を出発し約3年間、中央アジアの仏教遺跡を調査しました。この中で、特にトルファン地域では延べ6ヵ月間にわたり、仏教遺跡や古墳群の発掘調査を行い、古墳からはミイラや数多くの副葬品、葬送儀礼に使用された紙片が出土しました。これらは当時の社会・経済・文化に関する貴重な資料となり、その後の敦煌・トルファン学の進展に大いに貢献しました。
本展では、生誕140年を機縁として、吉川小一郎が探検地である中国や中央アジアから家族宛に送った多くの書簡や古写真、そして自身の回顧音源(すべて初公開)を中心に、大谷探検隊の実像と吉川小一郎の人間像に迫ります。
江戸時代絵画を代表する絵師として知られる伊藤若冲(1716~1800)。若冲の精緻な描写、鮮やかな色彩や自由闊達な水墨表現は、対象を独自の視点で捉えたみずみずしい絵画世界を形成し、多くの人を魅了しています。
本展では、若冲とその弟子とされる若演の作品など、若冲と江戸時代絵画の豊かな表現をご紹介します。
1795年、ロシア・プロイセン・オーストリアによる分割以降、123年の間独立を失ったポーランド。国を失った人々が自らのアイデンティティーのよりどころとしたのが、芸術そして文化でした。その中心地として重要な役割を果たしたのが、古都クラクフです。
19世紀後半、ポーランドの歴史や文化的逸話を大きなスケールで描き名声を博したのがヤン・マテイコです。クラクフ美術学校校長を務めた彼のもとからは、数多くの若き芸術家たちが巣立ちます。彼らは、祖国の独立を願いつつ、そこに自らの心情を結びつけ、象徴性に富み色彩豊かな独自の芸術を広い分野で展開しました。〈若きポーランド〉と呼ばれた彼らは、同時代の西欧の美術や浮世絵などの日本美術を貪欲に吸収しつつ、地方に残る伝統文化を発見・再解釈しながら、ポーランドの「国民芸術」のあるべき姿を模索しました。本展では、マテイコを前史とし、〈若きポーランド〉が生み出した芸術を包括に、日本で初めて紹介します。
本展はクラクフ国立博物館の全面的な協力のもと、クラクフ国立博物館を筆頭に、ワルシャワを含む複数の国立博物館や多くの個人所蔵家から招来した、マテイコそして〈若きポーランド〉の数多くの絵画ならびに版画、家具やテキスタイルなどの工芸品を含む約130点によって、前世紀転換期に花開いたポーランド美術の神髄をご覧いただきます。
京都東山・鹿ヶ谷の地にて開館以来65年目を迎える2025年春、泉屋博古館は1年の改修工事を経て装いを新たに再び始動します。リニューアル記念名品展の第一弾は、一貫して活動の核としてきた住友家伝来の美術品を中心に、日本、中国、朝鮮の古代から近世にいたる美術工芸の代表作を精選してご紹介します。
世界的前衛芸術家・草間彌生(1929年~)の版画の世界をご紹介する展覧会です。
草間彌生は1993年第45回ヴェネチア・ビエンナーレにおいて、日本を代表する作家として世界の舞台へと立ちますが、その前後で積極的に版画制作に取り組んだことも、現在の評価につながる大きな原動力となりました。
草間彌生は1979年に版画作品を初めて発表します。そこには米国から帰国後の死や苦悩をテーマにした作品とは対照的に、華やかなモチーフが色彩豊かに表現されています。それまでの抽象的な表現に加え、南瓜、ドレス、葡萄、花や蝶など日常的なモチーフが網目や水玉で構成され、明瞭な色彩をまといます。
網目や水玉の増殖が創作活動の根幹にあった草間と、複製芸術である版画は必然的に出合ったと言っても過言ではないでしょう。
近年は、富士山を主題に浮世絵の木版画の技法を用いた連作や、モノクロームの大型シルクスクリーン作品「愛はとこしえ」シリーズなど、特徴的な作品を発表しています。
本展覧会では、世界最大級の草間コレクションを誇る草間彌生の故郷・長野県松本市にある松本市美術館が所蔵する版画作品に作家蔵の作品を加えた約330点で草間彌生の版画芸術の魅力と軌跡を展観します。
フラワーアーティストの東信は、これまで幾多の表現を通じて花や植物の美しさや可能性を探求してきました。
世界各地で巨大なBotanical Sculptureといった革新的なインスタレーションを手がける一方で、花が咲いて朽ち果てるまでの変容を捉えた映像作品から子ども向けのアニメーション制作まで、常に花の持つ無限の可能性と命の尊さに対峙してきました。こうした活動の中で、2018年頃より、彼の関心は花の内部構造へも広がりを見せ、レントゲン撮影を通じた未知の領域への挑戦がスタートしました。
本展覧会では、長年にわたり新聞を印刷してきた面影を遺す京都新聞印刷工場跡地の大空間を舞台に、その X 線写真撮影時のフィルム原版および CT スキャンで撮影した映像を展示します。
技術の進歩により、これまで目にすることのなかった世界が可視化され、私たちは新たな視点で植物の微細で崇高な世界を目撃することになります。暗闇の中に光るその先に、多様で神秘に満ちた植物の世界が静かに立ち現れるでしょう。
樂焼は、「樂家の当主」による個人の作品の連続がその根幹を支え、連綿と数百年も続いてきました。現在十六代を数える樂家では、初代「長次郎」から全ての代の茶碗が残され、それぞれが初代の模倣ではなく、作者独自の視線や考えが色濃く落とし込まれています。「茶碗には、その人が宿る」ともいわれるように、さまざまな時代の中、必死に生きた歴代の痕跡が茶碗に込められる茶碗を通し、「茶」に対する想いや美意識、魅力を感じていただきます。
1944年中国四川省生まれで、現在、上海を拠点に活動する画家・方攸敏(ファン・ユーミン)による、中国の書や絵画の伝統を今に伝える作品が、醍醐寺霊宝館で観られます。
力強い筆致で花を描くその作風から「花王」と称され、上海画壇では避けられない存在となっている方氏による醍醐寺への奉納作品「醍醐桜」ほか作品約20点を、醍醐寺の桜とともにお楽しみください。
半世紀以上、海と海に生きるものたちを撮り続けている水中写真家、中村征夫(1945- 秋田県生まれ)。水面下から広がる雄大な海には、それぞれ生きものたちが暮らすユニークな楽園(社会)が存在します。色や形など、見れば見るほど色彩豊かな海の世界。うっかり見逃してしまうような海の生きものたちを、100点を超える写真作品で紹介します。2024年9月、初めて京都の海に潜った際の撮りおろし最新作も特別展示します。笑い顔や泣き顔、すまし顔など、まったく人間と変わらない個性溢れる生きものたちとの一期一会を、写真家のユーモア溢れるコメントと共にお楽しみください。
京都を中心とした現代陶芸界は、世界的にみても作家の層が厚く、田嶋悦子は1980年代に関西のエネルギー溢れる自由な気風のなかで、女性の立場からの彩色豊かな官能的な作品を発表し注目を集めました。
1990年代からは、ガラスと陶を組み合わせた作風へと変貌をとげ、現代陶芸の領域を広げてミックストメディアの作品を制作しています。田嶋悦子は陶にはないガラスの透光性や質感に惹かれて、陶との組み合わせによる表現の効果を発揮させています。
作品のモチーフは花を基調とした植物的な形態であり、陶とガラスの素材感が違和感なく調和し、陶土の重量感はなく、拡張する作品空間が軽やかな雰囲気を漂わせています。
本展では、今回新たに制作された、鍵善良房の菓子詰合せ『園の賑い』をイメージした作品を中心に、1980年代から現在までの作品を展覧いたします。透過する光と作品表面の表情による、蠱惑的な世界を是非ご堪能ください。 出川哲朗(大阪市立東洋陶磁美術館名誉館長)
壁や床に映し出された作品の中に入ったり触れたりすることで、魔法を使っているような体験ができます。
色とりどりの光の粒の中に動き回る「的」が出現し、鑑賞者が「玉」を投げて的中させると、噴水のように舞い上がる「SplashDisplay」や、絵本を手に持って、空間を歩き回りながら世界中のさまざまな童話や昔話を描いたピクセルアニメーション作品を鑑賞する「がそのもり」、クリスタルにライトを当てることで、空間に光の虹彩を放つ「アスタリス」など、京都府初公開のものを中心に、子どもから大人までが直感的に楽しめる16作品を展示します。
左写真:的場やすし/山野真吾/徳井太郎 /「SplashDisplay」
/©yasushi MATOBA/shingo YAMANO/taro TOKUI
国内外の第一線で活躍するアーティスト、そして彼らの推薦を受け、あるいは公募により選ばれた新進気鋭の若手アーティストらの作品を展示する「ARTISTS’ FAIR KYOTO(アーティスツ フェア キョウト)2025」を開催します。
「Art Singularity(アートシンギュラリティ)」をコンセプトに掲げ、アーティストが世界のマーケットを見据え、次の次元へと活躍の場を拡大するアートの特異点を目指す新しい形のアートフェアです。
8回目の開催となる今回は、京都国立博物館・京都新聞ビル・東福寺を会場に展開。刺激的なアートの現場を体感してください。
※会場ごとに会期・時間が異なりますのでご注意ください
※東福寺会場のみ3月6日(木)まで
写実絵画とは、従来の西洋絵画にあった神話や歴史、宗教と言ったテーマではなく、社会や日常生活などを客観的に描いたものをさします。19世紀中頃にフランスを中心に興った写実主義と言われたこの芸術様式は、後の印象派や表現主義などの近代美術に大きな影響を与えました。今日の日本の写実絵画は、一般には写真と見まがうばかりの絵をイメージするかもしれませんが、本来は現実あるいは対象を深く見つめることで、社会や人の本質を描き出そうとする画家たちの挑戦と言っても過言ではありません。本コレクションの特徴は、いわゆる大家よりもむしろ中堅、若手に軸足が置かれ、ミュージアムピースと呼ばれる大作から濃密な筆致の小作品で構成され、そのモチーフも静物、人物、風景と、幅広くかつヴァリエーションに富んでいます。本展は、鹿児島県出水市にある鶴の来る町ミュージアムの400点余りの写実絵画コレクションの中から厳選して展覧いたします。スマートフォンや高精細なデジタルカメラで誰にでも容易く対象を写し取れる時代に、画家自身の思いや眼差しをとおして、一筆一筆丹念に塗り重ね表現された写実絵画の世界を、是非この機会にお楽しみください。
1926年(大正15年)、安野光雅は島根県津和野町に生まれました。画家、絵本作家、装丁家、デザイナー、著述家として半世紀以上にわたり幅広い分野で創作活動を続け、2020年、94歳の生涯を閉じました。
安野の数ある作品の中で、風景は代表的なテーマのひとつです。国内外を旅しながら描いた風景画は、静かな余情を湛え、見る者の心に語りかけてきます。
そして「空想」することも安野が大切にしたことの一つ。空想しながら自分の心で感じたことを楽しく、やさしく絵に描いていく。代表作である『旅の絵本』や『空想工房の絵本』はそうして生まれました。
本展では安野が旅し、空想し、描いた風景の世界を見つめます。ヨーロッパの国々や日本の各地、さらに司馬遼太郎と旅して描いた風景の数々。世界的名作であり、自然、そして街の描写も美しい『旅の絵本Ⅲ』〈イギリス編〉は全場面を展示。さらに安野自身の子ども時代を描いた『ついきのうのこと』、切り絵の表現がユニークな『昔咄きりがみ桃太郎』といった絵本の世界。デザイナーとして取り組んだ装丁とその原画など、安野の多彩な仕事を120点を超える作品、資料から紐解きます。
「京都 日本画新展」は2008年度の創設以来、日本画を志す若手作家たちが生き生きと日本画を描くことを応援し、活動の奨励・支援を目的として毎年作品発表の場を提供してきました。本展では、若手作家の自由な発想にあふれた意欲的な作品を一堂に展観します。伝統と文化が今なお根付く、大学の町・京都の特性を最大限に生かし、日本画の未来を担う作家たちとともに、京都ならではの日本画展を目指します。