アール・ヌーヴォーの代表的な画家として知られるアルフォンス・ミュシャ(1860-1939)は、サラ・ベルナールの演劇ポスター「ジスモンダ」をはじめとする数々のポスター作品で知られていますが、実際に彼が手掛けたジャンルは非常に多岐にわたりました。ミュシャ作品に特徴的な優美な女性像と花々を組み合わせたグラフィックおよびプロダクトデザインは、絵画作品とはまた異なる魅力を宿しています。本展では、チェコ在住のズデニェク・チマル博士のコレクションから、ベル・エポックの時代を象徴するミュシャ芸術の中で、とくにデザインの仕事に着目し、マルチ・アーティストとしてのミュシャについてひもときます。様々な形のミュシャ作品をお楽しみください。
大正から昭和にかけて京都で活躍した日本画家、甲斐荘楠音(かいのしょう・ただおと/1894-1978)。国画創作協会で彼が発表した作品は美醜を併せ吞んだ人間の生を描いて注目を集めましたが、やがて映画界へ転身し、風俗考証等で活躍したこともあってその画業が充分には顧みられない時期が続いていました。1997年、京都国立近代美術館で開催された「甲斐庄楠音展」は彼の画業について再評価を促したといえますが、その際、映画人としての側面については大きく取り上げることができませんでした。今回は、彼が手がけた時代劇衣裳が太秦で近年再発見されたことを受け、映画人・演劇人としての側面を含めた彼の全体像をご覧いただきます。
鎌倉時代の歌人・藤原定家が編んだ秀歌撰である小倉百人一首は今なお多くの人々に親しまれています。
今回の企画展では、百人一首ゆかりの書や絵画をご覧いただくとともに、百人一首の歌人の中から在原業平に着目し、彼が主人公とされる『伊勢物語』の各段を彷彿とさせる名作をご紹介します。
展覧会を通じ、2つの古典文学作品により親しんでいただける内容となっています。
現在福田美術館は約1800点のコレクションを有しています。このうち約200点は元々、国内有数の美術収集家であった山本憲治(1946-2020)氏の所蔵品であり、新しく福田コレクションに新しく加わったものです。
本展は新収蔵品の中から明治から昭和に活躍した有名画家たちの名品をご紹介いたします。
従来の福田美術館の企画展とは一味違ったラインナップをお楽しみください!
1914年、石井柏亭・梅原龍三郎・有島生馬・坂本繁二郎らが結成した『二科会』。常に新傾向の作風を吸収し、岸田劉生・佐伯祐三・藤田嗣治・岡本太郎・東郷青児など美術史上欠かすことのできない多くの著名な芸術家を輩出しています。同会の会員、会友、一般入選の力作をぜひご高覧ください。
また、デザインでは、「乃木坂46」の元メンバーで女優兼モデルとして活躍中の若月佑美さんの作品が、特選を受賞し、会友推挙になりました。京都展でも展示される予定で、注目の一つです。
◆主な出品作家◆
【絵画】生方純一をはじめ、地元の黒川彰夫、中原史雄、田川絵理、入佐美南子、大渕万弥子、甲津久生、井上邦男、友政光雄、古保木雄一、冨士谷隆、藤谷進、石橋国夫、北村美佳、石田勝己、山中惇孝、瀬野道子、根木悟、山岡明日香ほか
【彫刻】吉田二郎、多羅間拓也ほか
【デザイン】下口智弘、梅村万里子ほか
【写真】西岡伸太、大橋仁三郎、八木富夫、南村初江、堀部素弘、黒田収ほか
総数282点
明治40年に第1回文部省美術展覧会(略して文展)を礎とし、「帝展」「新文展」「日展」と名称を変えつつ、常に日本の美術界をリードし続けてきた日展。
当初は日本画、西洋画、彫刻の3部門でしたが、昭和2年に工芸美術が加わり、昭和23年に書も加わりました。
現在では、各部門において日本の美術界を代表する巨匠から、第一線で意欲的に活躍している中堅、新人を多数擁しており、世界にも類のない一大総合美術展として、全国の多くの美術ファンが関心を集めています。
日本画家・堂本印象(1891₋1975)は作品制作にあたって、視覚だけではなく、音を作品に込めることも大切にしてきました。
後年には《交響》に代表されるように、音楽作品からインスピレーションを得たり、音楽的な要素を作品に取り入れるなどの表現を行っています。
本展では、小唄にちなんだ大正時代の作品をはじめ、聖歌をなどをモチーフにした戦後の抽象画や音楽をイメージした酒瓶など、音や音楽を感じることのできる多彩な作品を紹介します。
2008年より10年以上にわたり開催してきた「京都 日本画新展」。京都にゆかりのある若手日本画作家たちの制作を応援し、その活動の場を提供してきました。現在では本展に出品した多くの作家が、多方面で活躍しています。
今回も京都ならではの日本画展として「京都 日本画新展」を開催します。大賞、優秀賞、奨励賞受賞作をはじめ、推薦委員から推薦を受けた20~40歳代までの30作家の作品を一堂に展覧。あわせて推薦委員の新作等も発表します。
細見コレクションには、二代古香庵・細見實が蒐集に情熱を傾けた琳派や伊藤若冲の作品のほか、江戸時代のさまざまな絵画含まれています。都市の賑わいや祭礼を描いた屛風や、草花や動物をいきいきと描いた作品、雅やかな物語絵、個性豊かな画家たち…。
本展では、細見コレクションの中から江戸時代に描かれた絵画を展示、人気の琳派や若冲のみならず、これまで紹介する機会が少なかった作品も披露します。多種多様な江戸絵画の豊潤な世界が愉しめます。
京都在住の写真家、溝縁ひろし(1949-香川県生まれ)は、大学卒業と同時に、就職を機に京都へ移り住みます。
休日になると趣味のカメラを片手に、京都観光をして過ごしていたそんなある日、夕暮れ時の四条花見小路で初めて出会った「舞妓」に心奪われます。一瞬にして別世界へ連れて行かれたその不思議な感覚、余韻はその後も消えることがなく、仕事が終わると祇園に足を運ぶようになりました。少しずつ顔なじみのできてきたある日、お茶屋のおかあさんに「舞妓さんをしっかり撮っておいておくれやす。いやはらへんようになるかもしれまへんさかい。」と言われます。舞妓さんの成り手が減っていた1970年代当時、現実味を帯びたその言葉に背中を押されて、京都の花街を写真で残していこうと決意します。花街はもちろんのこと、祇園町の日常風景を写すことも写真家としてのライフワークになったのです。
本展では、1973年(昭和48)から撮り始めた「昭和の祇園」(祇園甲部)の作品を中心に、現在までの祇園甲部の風景や芸舞妓の姿など約150点の作品で展覧し、写真家・溝縁ひろしの活動50年を振り返ります。
次代の工芸美術をリードする創作工芸美術集団「工芸美術創工会」による、第33回目の展覧会。さまざまな表現の形、確かな技術に根差した作品をお楽しみください。
櫻谷文庫では、木島櫻谷(このしま・おうこく)自ら設計に関わり建造した京都衣笠の邸宅の特別公開を実施いたします。
会場内では手描きの婚礼衣装のほか、櫻谷の描いた色紙を一挙に公開。
隅々まで櫻谷の意匠が残る建築をお楽しみください。
京都の晩秋を彩る恒例のイベントとして親しまれている「日本盆栽大観展」を今年も開催いたします!
『 わたしの 今の作品は これ!!! 』
光風工芸の会員、会友、入選者ら自由意思の参加者約75人が、新たな工芸美術を目指して、思い思いに意欲的な作品を出品、展観します。ご来場お待ちしております!!
今回で3回目を迎える「創工会 × 和中庵 in 鹿ケ谷」。今年もノートルダム女学院中学高等学校 和中庵において工芸美術 創工会の会員有志による展覧会を開催します。
秋の東山を背景に、陶芸、漆芸、染色、硝子、金工、金石、木工の作品を展示します。歴史ある和洋建築の空間で観る「工芸美術」をぜひご覧ください。
近代の京都画壇を代表する存在として近年再評価が進む日本画家木島櫻谷(1877-1938)。動物画で知られる彼ですが、生涯山水画を描き続けたことも見逃すことはできません。なにより写生を重んじた彼は、日々大原や貴船など京都近郊に足を運び、また毎年数週間にわたる旅行で山海の景勝の写生を重ねました。その成果は、西洋画の空間意識も取り入れた近代的で明澄な山水画を切り拓くこととなりました。一方、幼い頃より漢詩に親しみ、また古画を愛した彼は、次第に中華文人の理想世界を日本の風景に移し替えたような、親しみやすい新感覚の山水表現に至ります。
本展では屏風などの大作から日々を彩るさりげない掛物まで、櫻谷生涯の多彩な山水画を一望のものとし、確かな画技に支えられた詩情豊かな世界をご紹介します。
あわせて画家の新鮮な感動を伝える数々の写生帖、青年期より収集し手元に置いて愛でた古典絵画なども紹介し、櫻谷の根底にあり続けた心の風景を探ります。
象(かたち)の会は、日本画、工芸、写真、書などの異なった分野の作家たちが集まり、美と技を追求することを目的に発足した会です。22名の会員による作品をお楽しみください。
染色家でアーティストの柚木沙弥郎さんの展覧会です。「くらし」と「人生」をテーマに、大人も子どももワクワクする「絵のみち」と「布の森」が美術館「えき」KYOTOに広がります。人や動物のゆかいな絵本原画、ユーモラスな人形、色とりどりの布が織りなす森のような空間を、じっと見つめて、全身で感じてみてください。
19世紀末から20世紀前半にかけてフランスで活躍したアンリ・ル・シダネル(1862-1939)とアンリ・マルタン(1860-1943)。共に印象派、新印象派の流れを汲みつつ、象徴主義など同時代の表現技法を吸収しながら幻想的な主題を扱ったほか、生活の情景や身近な人々を親密な情感を込めて描くアンティミスト(親密派)としても知られています。2人は1891年の最初の出会い以降、生涯にわたり親交を深めましたが、シダネルは北フランスで薄明かりに包まれた穏やかな光を、マルタンは南フランスで陽に照らされた明るい光を描き出し、それぞれ独自の画風を築きました。本展では、これまで日本で紹介される機会の少なかった2人の画家の画業を9つの章に分けてご紹介します。光と色彩に彩られた作品をぜひお楽しみください。
松尾芭蕉の貴重な直筆《野ざらし紀行図巻》が再発見されたことを記念し、福田美術館と嵯峨嵐山文華館が共同で展覧会を開催します。
本展は与謝蕪村をキーパーソンとして、蕪村が憧れた松尾芭蕉と、蕪村と同じ年に生まれた伊藤若冲、3人の足跡を辿るものです。