1914年、石井柏亭・梅原龍三郎・有島生馬・坂本繁二郎らが結成した『二科会』。常に新傾向の作風を吸収し、岸田劉生・佐伯祐三・藤田嗣治・岡本太郎・東郷青児など美術史上欠かすことのできない多くの著名な芸術家を輩出しています。同会の会員、会友、一般入選の力作をぜひご高覧ください!!
◆主な出品作家◆
【絵画】生方純一をはじめ、地元の黒川彰夫、中原史雄、田川絵理、入佐美南子、大渕万弥子、甲津久生、井上邦男、友政光雄、古保木雄一、冨士谷隆、藤谷進、石橋国夫、北村美佳、石田勝己、山中惇孝、瀬野道子、根木悟、山岡明日香ほか117点
【彫刻】多羅間拓也ほか13点
【デザイン】下口智弘、梅村万里子ほか61点
【写真】西岡伸太、大橋仁三郎、八木富夫、南村初江、堀部素弘、黒田収ほか79点
総数270点を展覧
茶碗は手にとり口をつけて抹茶を飲む器であるため、茶の湯の道具のなかでもことに親しみが深いものといえます。
表千家不審菴には、利休居士の求めた茶の湯の「こころ」と「かたち」を表した長次郎作の樂茶碗をはじめ、歴代家元ゆかりの茶碗、徳川将軍や紀州藩主から拝領した茶碗、樂家、永樂家とのつながりによって生まれた茶碗などが伝来し、銘や箱書には、それぞれの物語が秘められています。
一方服紗(ふくさ)は、主に茶器や茶杓を清める際に用いられますが、特別な一服である濃茶を差し上げる際には茶碗に「出し服紗」として添えます。茶入に仕服が添っているように、濃茶の茶碗に裂(きれ)を添えることで、一段重いものとして扱います。こうした「道具に添う裂」には、茶の湯によって洗練されてきた文様や意匠の美が凝縮されています。
この特別展では、家元に伝わる歴代ゆかりの茶碗と服紗に焦点をあて、その歴史と物語を訪ね、茶の湯文化における家元伝来道具の意義を明らかにします。
大正・昭和期に活躍した木版画家、川瀬巴水(かわせはすい)。日本全国を旅して、四季折々の風景を叙情的に描き、人気を博します。
本展では、季節や天候、時の移ろいを豊かに表現し「旅情詩人」とも呼ばれた川瀬巴水の画家としての生涯を、初期から晩年までの代表的な作品とともに紹介します。
まとめて観る機会の少ない連作(シリーズ)も含め180点を展示し、叙情的な巴水の世界へと誘います。
日本では近世、上方や江戸で造られた金色の端正な仏像が荘厳空間や教義の象徴として全国各地の寺々の本尊として祀られてきました。一方、北東北―みちのく―では、ごく狭い地域や家々でのささやかな礼拝のために、地元の工人や僧が刻んだ仏像や神像が祀られることがありました。その粗末な素材、稚拙にも感じられる素朴な造形は、なんとも飾り気のない豊かな表情と愛嬌に溢れています。しかしその背景には、災害や飢饉、貧窮といった死の恐れに向き合ってきたみちのくの人々の切なる願いが込められています。本展では、そうした「仏像」のイメージを変えるような、素朴でいとしい、みちのくの仏像たちの造形と、その信仰のあり方を紹介します。
竹内栖鳳は、近代京都の日本画界に最も大きな影響を与えた画家です。画壇革新を目指した明治期には、旧習を脱却した新たな日本画表現を模索し、西洋にも渡りました。技術が円熟に達した大正・昭和期には、画壇の重鎮として、第一線で活躍しながら多くの弟子を育成したことでも知られています。「写生」を重要視しながら、抜群の筆力で生き生きとした作品を生み出し、圧倒的な求心力で画壇をリードして、近代京都日本画の礎を作りました。現在では巨匠として多くに知られる存在ですが、そこへ至るためには、古い常識を破壊し、新たな地平を創生するエネルギーが不可欠だったのです。
本展では、京都市京セラ美術館所蔵の重要文化財《絵になる最初》をはじめ、若手時代から円熟期まで、栖鳳の代表作を集めて展示し、一堂にその画業を振り返ります。栖鳳の挑戦をより明らかにするため、本画に加え、制作にまつわる写生や下絵、古画の模写など、様々な資料もあわせてご覧いただきます。作品約130点で栖鳳の奮闘を余すところなく振り返る、大規模回顧展です。
樂家歴代の全貌を紹介する『定本 樂歴代』(樂美術館監修)が新しく改訂版となりました。解説も襲名にともない、樂篤人から16代吉左衞門、15代直入が担当します。改訂を記念した本展では、長次郎から16代吉左衞門まで、また樂家と外戚になる本阿弥光悦、玉水焼初代一元を加え、それぞれの代表作となる名品を展観し、樂焼の歴史、作風の特色とその変遷を探ります。
2021年に開催された第1回から早や2年、泉屋博古館の新たな取り組みである「泉屋ビエンナーレ」は新たな鋳金作家をメンバーに加え、第2回を迎えることとなりました。約3000年前の中国古代青銅器からインスピレーションを受け、新進気鋭の鋳金作家10名が新作を制作、おなじ展示会場内に陳列することで、時空を超えた対話を体験いただける刺激的な空間を演出いたします。はるか古代から連綿とつづく鋳金の技術はどこからきて、そしてどこへと向かっていくのか。ひびきあう聲と聲のなかから生まれる、鋳金芸術の最先端をお見逃しなく。
芭蕉布の着物、帯地、裂地や資料など約70点にわたり展覧いたします。
原料の栽培から一貫する品質へのプライド。伝統を守り育てる一方で挑戦を怠らない姿勢。人間国宝の平良敏子が現代へとつないだ「喜如嘉の芭蕉布」には、我が国のものづくりが参考にすべき要素が多くあります。
また、無数のディテールを重ねて紡がれる窮極な手仕事の継続は、敏子自身が常々口にするように、家族や支え合う友部の存在なしに語ることができません。「喜如嘉の芭蕉布」は、自然や地域コミュニティーと共生する私たちの未来の象徴と捉えることもできるのではないでしょうか。
本展が「喜如嘉の芭蕉布」への関心と理解を深める機会となることを願います。
平成10(1998)年、京都・岡崎に開館した細見美術館。
開館25周年を記念し、コレクターが己の美意識を信じ、懸命に追い求めてきた多彩なコレクションを2展にわたってご紹介します。
第一弾「愛(いと)し、恋(こい)し、江戸絵画-若冲・北斎・江戸琳派-」では、二代古香庵 (細見 實、1922~2006 / 細見美術財団前理事長)と妻 有子(現理事長)が二人三脚で蒐集した江戸絵画を展観します。
先見の明をもって集めた、伊藤若冲のユニークな作品や葛飾北斎の肉筆美人画、さらには酒井抱一に始まる洗練された江戸琳派の作品群など、夫妻のお気に入りを紹介します。
夫妻は蒐集した美術品を自邸に飾って楽しみ、もてなしにも用いてきました。季節やテーマ、客人の好みなどをイメージしながら時代やジャンルを超えて取り合わされた美術品の数々は、呼応しあって空間を彩りました。展覧会では、細見家ならではの美の競演もお楽しみいただけます。
※会期中一部展示替え有り
動物、鳥、虫などの動く生きものをいかに表現するかは、多くの画家が取り組んできたテーマでした。堂本印象(1891-1975)も、京都画壇の伝統的な写生の技を引き継ぎながら、「花鳥画」「動物画」という枠だけではなく、《西遊記》の孫悟空、インドの伝統風習をロマンチックに描いた《乳の願い》の他、「風景画」「戦争画」、さらには工芸品の中にも、生きものたちを登場させています。
本展では、印象がどのように動物たちと向き合い、モチーフに取り入れて表現したのかを紹介します。リアルを追求した写実的な表現から、ユーモアあふれる動物、そして、かわいらしい猫まで、多彩な印象芸術をこの機会に心ゆくまでお楽しみください。
日本画を学んでいた学生時代に、絵本作家になりたいと独学で絵本作りをはじめた谷口智則(1978年-大阪府生まれ)。黒い紙に6色のアクリル絵具で色深い独特な世界を描き、2004年『サルくんとお月さま』で絵本作家としてデビューを果たしました。数々の絵本に登場するサル、クマ、ゾウをはじめとするたくさんの動物たちや100人のサンタたちは、それぞれ自分の得意とする個性=「いろ」を持って描かれており、みんなで助け合い夢に立ち向かう姿や、どんな時でも相手を想いやる優しい気持ちが物語の随所に表現されています。
本展は、『100にんのサンタクロース』をはじめとする20タイトルの絵本の中から絵本原画を中心に、サンタの立体など300点を超える作品をご紹介します。また、会場では絵本や展覧会オリジナルグッズも販売いたします。谷口智則が生み出す絵本の世界で、あなた自身の「いろ」を探してみませんか。
戦後日本の陶芸界において中心的な役割を果たした前衛陶芸家集団の走泥社に焦点を当て、同時代の状況の中でその活動を紹介します。
1948年に八木一夫、叶哲夫、山田光、松井美介、鈴木治の5人で結成された走泥社は、その後、会員の入れ替わりを経ながら50年間にわたり、日本の陶芸界を牽引してきました。走泥社の功績について簡潔に述べるとすれば、長年の活動を通じて、陶によるオブジェを世間に認知させたということ、そして陶芸固有の表現世界を切り開いたということになるのではないでしょうか。
本展は、走泥社結成25周年となる1973年までを主な対象としています。走泥社と同時期に前衛陶芸を牽引した四耕会など走泥社以外の団体や作家等も一部交えつつ、約180点の作品および関連資料を通じて、前衛陶芸が生まれた時代を振り返ります。
前半期の25年間に限るとはいえ、おそらく本展はこの時期の走泥社の活動全体を紹介する初めての試みです。
明治、大正、昭和・・・・・・。時代のうねりの中で、いつしか忘れられてしまった実力ある画家たち。本展では、彼 (女)らが遺した素晴らしい作品を見つけ出し、紹介してきた星野画廊のコレクションから、「少女たち」をテーマに紹介します。女性たちの人生のさまざまが描かれた日本画と洋画、約120点を展示しますので、作品の放つ魅力を存分にお楽しみください。
アサヒビール大山崎山荘美術館は、2023年7月1日より館名を「アサヒグループ大山崎山荘美術館」に変更されました。
新しい館名として最初の展覧会となる本展は、2021年2月、森田昭一郎氏(森田酒造株式会社代表取締役)より、舩木倭帆作品105点の寄贈を受けたことを記念して開催いたします。
舩木の没後10年を迎える節目の年に、現在もなお私たちを魅了しつづける舩木倭帆作品の数々をご紹介します。
,8世紀初頭に中国より伝来したとされる団扇(うちわ)は、涼をとるほか虫や邪気を払う道具として使われました。一方、平安時代に団扇を改良してつくられた扇子(せんす)は後に神事の道具や貴族の装身具となり、茶道や舞に用いる小道具としても重宝され、美しい絵柄が描かれてきました。また、高貴な身分の者が備えた品格や女性らしさなどを表現するモチーフとして、しばしば絵画の中にも登場します。今でも扇は身近なアートであり、時に広告メディアやサイン色紙としての役割を果たすこともあります。
本展覧会では、京扇子の老舗「白竹堂」ご協力のもと、団扇や扇子が描かれた日本画作品とともに、主に江戸時代から現代にかけてつくられた様々な扇を展示いたします。
江戸時代に確立された浮世絵木版画(錦絵)は、明治以降の西洋の写真や印刷技術導入の影響で、衰退の一途をたどっていました。その中で、あえて伝統的な絵師、彫師、摺師による分業体制の浮世絵木版画技術を使い、高い芸術性を意識した同時代の画家による取り組みが、「新版画」の始まりとされています。これを牽引したのが渡邊版画店(現在の渡邊木版美術画舖)・渡邊庄三郎(1885-1962)でした。
本展は2024年に生誕140年、没後90年を迎える画家、竹久夢二の回顧展です。「夢二式美人」と呼ばれ、一世を風靡した美人画の数々に加え、小説の挿絵、楽譜の表紙デザイン、本の装丁や俳句・作詞にいたるまで、多彩な才能を発揮したクリエーターとしての夢二の魅力が詰まった作品の数々をご覧いただきます。関西では、コレクションがまとまって公開されるのは約30年ぶり。夢二ファンはもちろん、老若男女を問わずお楽しみいただける展覧会です。
『第41回京都新聞チャリティー美術作品展』を、京都髙島屋7階グランドホールで開催します。
陶芸、工芸、彫刻、洋画、版画、日本画、書、イラスト、漫画、写真など、全国の著名な美術家・宗教家・文化人らからご寄贈いただいた約1,100点を超える心のこもった作品を一堂に展示いたします。
ぜひともご鑑賞いただき、作品を寄贈してくださった作家の皆さまのまごころのこもった作品をお楽しみください。
お釈迦さん(釈尊)は悟りを開きブッダとなる以前、輪廻転生を繰り返し、さまざまな前世をおくりました。例えば、日本では「月の兎」として今昔物語でも言及されるササジャータカ、鷹に追われる小鳥を助けるために自分の腿の肉を削いだシビ王の物語、請われるがまま国の大切な白象や自分の妃、子どもらまで布施してしまうヴィシュヴァンタラ王子の物語など、仏教経典に伝えられる釈尊の前世の物語はガンダーラ地域を中心に、彫刻や絵画作品としても表されてきました。こうした釈尊の前世の物語は「ジャータカ」や「本生話」と呼ばれ、現代にも伝えられています。今回のシリーズ展の特集展示では、初公開作品も加え、仏教の開祖であるお釈迦さんの前世の物語をひも解きます。
古来、語り読み継がれてきた物語は、古くから絵巻物など絵画と深い関係にありました。和歌もまた、三十一文字の世界が絵画化されたり、絵から受けた感興から歌が詠まれたりと、絵画との相互の刺激から表現が高められてきました。
物語絵や歌絵の特徴のひとつは、繊細な描写と典雅な色彩。宮廷や社寺の一級の絵師が貴人の美意識に寄り添い追求した「やまと絵」の様式を継承することでしょう。そしてストーリーに流れる時間を表すかのような巻物、特別な場面を抽出してドラマティックに描き出す屏風など、長大な画面にさまざまな表現が生まれました。
古典文学は、後世の人々が自身に引き寄せて味わうことで、読み継がれ輝き続けてきました。それに基づく絵画もまた同様です。本展では、近世の人々の気分を映し出す物語絵と歌絵を、館蔵の住友コレクションから選りすぐってご紹介します。雅やかで華麗、時にちょっとユーモラスな世界をお楽しみ下さい。