「第八回 亰亰展 -日本画-」が9月4月(月)までアートギャラリー北野で開催中です。
会場で出品作家の黒岩知里さん、ベリーマキコさんにお話を伺うことができました。
黒岩さんは「私は建物を描いた作品を制作することが多かったので、建物ではない作品のみを展示しているというのは珍しいかもしれません。現在『Doll』という連作に取り組んでいます。感情や意志を持つ人形を表現してみたいという想いから制作をはじめました。」とお話くださいました。
続けて「色そのものは描いたモチーフの質感や感情を表す重要な要素だと思っています。必要最低限の色を用いて作品を描くことは、建物を描くときも人物を描くときも変わらないこだわりです。また『Doll』の連作のなかには鏡を画面のなかに貼っている作品もあります。これは鑑賞者が鏡に映ることで作品と一体化することができるのではないかと試みました。」と解説してくださいました。
京都・西陣で生まれ育ったという黒岩さん。幼い頃は路地が遊び場であったことから、路地やビルなどの人工的な風景に愛着があるそうです。鏡を作品のなかに取りこんでいるのも、幼いころの生活環境が影響されているのかもしれません。
続いてベリーマキコさんにもお話を伺いました。
「作品名は『その時を生きた』。私は亀岡市で育ちました。山や川など自然豊かなところに親しんでいたので、作品も自然の風景を描くことが多いです。この作品の右側には紫陽花を描いています。花の咲いている部分と枯れている部分は時間の経過を表現しています。ただ美しいだけの姿よりも完璧ではない姿に心惹かれますね。」とお話いただきました。
ベリーさんの作品はどれも色彩が美しく、独特。ベリーさんの絵画世界のなかに引きこまれるような色づかいのこだわりを伺ってみました。「日本画を描く素材である岩絵具そのものの色も美しいのですが、私は自分自身の色になるように作り込んでいます。何を混ぜているかなどは秘密です。」と語ってくださいました。
西陣に生まれ育ち、無機質なモノや風景に惹かれるという黒岩さん、自然豊かな亀岡市で育ち、山や川、草花などに惹かれるベリーさんと対象的にみえるおふたりですが、「日常の風景や、日々感じるモノを描きたい」という想いは同じ。
黒岩さんは「ベリーさんとの出会いは、『京都日本画新展』がきっかけでした。作風も描くモノも違うけれど、お互いに刺激をしあっています。だからこそこの三人展は続けていきたいですね。」と最後にお話くださいました。
それぞれに異なった持ち味を持つ黒岩知里さん、ベリーマキコさん、髙井弘明さんの作品同士が響き会う会場内をご堪能ください。
<展覧会概要>
展覧会名:「第八回 亰亰展 -日本画-」
日時:2017年8月30日(水)~9月4日(月)10:00~19:00
※最終日は17:00まで
場所:アートギャラリー北野
(京都市中京区三条通河原町東入ル恵比須町439-4)
<「京都 日本画新展」関連の出品者>
黒岩知里さん、ベリーマキコさん