窯の中の激しさをうつす緋色のうつわ
作品を成形し素焼きをした後、薪窯に入れる時に、底面を上に皿を伏せて焼成する。
薪の灰が上から舞い落ちるのを防ぎ、皿の表面に緋色を走らせるためである。
支えにする土の塊を中央に1 点にすることで、裏向きの皿は、高温の窯の中で重さにより左右がゆがみ、やわらかい器形に変形している。
うつわに4つのシャープなラインを入れることで、柔らかい炎の流れに緊張感が生みだされている。
緋彩長方皿「耀光」
平成30
高9.5×幅62.3×奥行32.2×底18.4・10.8
個人蔵
信楽焼の魅力的な景色のひとつに、白い土に炎が走る温かみのある緋色がある。
戦後の陶芸家たちは、薪窯による焼成に取り組んで以来、この緋色に魅せられてきた。
神﨑は、かねてからうつわに一つの白い固まりが浮遊する構図を考えてきた。
《耀光》と題されたこの作品は、中央に白く輝く光の帯、そして炎の有機的な動きの緋色がそれを取り巻く。
窯の高温により、うつわのフォルムが重力によって変形するなど、1300度を超える窯の中の炎の激しさをみせる。
神﨑秀策 KANZAKI, Shusaku 1983 滋賀県甲賀市信楽町生まれ 2004 京都府立陶工高等技術専門校 修了 2012 第59回日本伝統工芸展 入選 2015 第44回日本伝統工芸近畿展 新人奨励賞 2016 第27回秀明文化基金賞 2018 現代形の陶芸 萩大賞Ⅳ 入選、日本工芸会正会員に認定
|