【報告】プレミアムナイト企画「地獄絵 絵解き×音解き×美解き-今夜は地獄へ行かナイト」

【報告】プレミアムナイト企画「地獄絵 絵解き×音解き×美解き-今夜は地獄へ行かナイト」

陽も沈み始めた午後5時30分、約150名の参加者が龍谷大学大宮学舎内にある重要文化財の本館講堂に集まりました。

明治時代に建築された重要文化財の建物に白熱球ライトが灯る独特の雰囲気に包まれた中、西山克教授(関西学院大学文学部教授)による絵解きが始まりました。

今回絵解きに使われたのは、「熊野観心十界曼荼羅」。江戸時代初期に描かれたもので、熊野比丘尼が地獄や極楽の様子を庶民に解き、熊野への参詣を促したとされるものです。

西山教授は、「本図には極楽もあれば地獄も描かれています。皆さんの心の中にも10の世界があるのです」と絵解きを開始。刀のような枝葉が茂る木の上で女性が手招きをしている「刀葉林地獄」を取り上げ、「上に登れば女性は下に降りる。下に降りれば、女性は上に登る。これが永遠に繰り返されるのです。会いたい女性に近づこうとするが近づけない。“愛と悲しみの地獄”です」と解説。画面いっぱいに広がるさまざまな様相の地獄に、独自の見解も交えつつお話しいただきました。

続いて登場したのがファンファーレ・ロマンギャルドの4人。地獄や餓鬼など六道をイメージして制作された「組曲六道」を演奏していただきました。
演奏にあわせた影絵の映像も流され、迫力満点の生演奏とあいまって、会場内はおどろおどろしい雰囲気に包まれていました。

その後、参加者は龍谷大学 龍谷ミュージアムの担当学芸員扮する獄卒に誘われ、ミュージアムへ移動。閉館後、貸し切りのミュージアムで学芸員の解説を聞きながら、時間いっぱいまでゆっくりとご鑑賞をいただけたようでした。今回、ご参加いただいた龍谷大学卒の20代の男性は「絵を見るだけでは分からないことも、解いていただくことで、より理解が深まり興味がわきました」。また同伴の女性は「解説を聞いたことで、音楽や展示に入りやすくかった。展示パネルだけでは分からないことも話を聞くと、理解度が上がりました」と満足げに話していました。