細見コレクションの原点である伊藤若冲と宗教美術の作品を紹介する「美の饗宴 若冲と祈りの美」。
本展には、目を凝らして細部までよーく見てみてほしい作品が多数出品されています。
今回はその中から刺繍大日如来像の注目ポイントをご紹介します!
<注目ポイント①>細密な刺繍技法!
本作は、金具にいたるまで制作当初のものを備えた非常に保存状態の良い繍仏です。
繍仏とは仏像や仏教的主題を刺繍で表したもののことですが、本作ではなんと表具の部分まで刺繍で表現されているのです!
この微妙な色のグラデーションや…
台座や背景の細かな装飾まですべて刺繍!
さらに全面に刺繍が施されているにもかかわらず…
非常に薄手の仕上がりになっています。
あまりの精緻さ、技術の高さに目をみはるばかりです。
<注目ポイント②>縫い込まれた髪の毛
さらに驚くべきことは、大日如来の髪・眉・髯の部分の縫い糸として本物の髪の毛が使われていることです。
これは「髪繍(はっしゅう)」と呼ばれる供養の一種で、亡くなった人の遺髪を縫い込んだのです。
故人への想いが一針一針に込められたからこそ、これほどまでに精緻な仕上がりになったのでしょうか…?
人々の思いが込められ、現在にまで伝わった本作。
是非実際に会場でご覧になって、注目ポイントを確かめてみてください。