【ことしるべおでかけクラブ スタッフおススメスポットvol. 112】京都シネマSTAFFの今月のオススメ「Ryuichi Sakamoto: CODA」

【ことしるべおでかけクラブ スタッフおススメスポットvol. 112】京都シネマSTAFFの今月のオススメ「Ryuichi Sakamoto: CODA」

「京都シネマSTAFFの今月のオススメ」では、京都シネマで公開される毎月の上映作の中から、
京都シネマスタッフによる一押し作品をご紹介します。
11月のオススメ作品はこちら!

「Ryuichi Sakamoto: CODA」


 

世界的音楽家・坂本龍一がアルバム『async』をつくりあげるまで。

アンビエントをテーマにした展覧会AMBIENT KYOTOの2回目が絶賛開催中。
会場のひとつである京都新聞ビル地下1階の広大な空間では、坂本龍一と高谷史郎によるインスタレーション《async – immersion 2023》が展開されています。この展示は、坂本が2017年に発表したスタジオ・アルバム『async』をベースに、高谷が日本、ドイツ、アイルランド、アメリカ、モロッコなど世界各地で撮影した約26本の映像を大きなスクリーンに映し出すというもの。35台以上のスピーカーを使って『async』の楽曲たちが満たす空間はあまりにも至福。

今回紹介するのは、前作のアルバムから約8年ぶりとなった『async』誕生までを追ったドキュメンタリー『Ryuichi Sakamoto: CODA』です!
中咽頭がんの発症、そして、復帰。そのあいだの思索、探求の軌跡をたどります。

東日本大震災で津波に襲われて、泥水に浸かった被災ピアノに出会う場面から映し出される本作は、震災以降の坂本の音楽表現の変化に興味を持ったスティーブン・ノムラ・シブル監督が、2012年から5年間という長期に渡る密着取材を敢行し、製作されました。ニューヨークの自宅スタジオなどで行われたアルバム制作の様子、雨の音や北極圏の氷の溶ける音などの環境音を収集する姿、そして『戦場のメリークリスマス』『ラストエンペラー』など映画音楽制作中のエピソードや、2014年の闘病生活までをカメラに収めます。そしてアルバム『async』の秘密が解き明かされる本作は、坂本のファンはもちろん、現実を表現へと落とし込むことを目指す人々にとっても必見のドキュメンタリーです。

102分のあいだに挟まれるのは、2001年の米同時多発テロ、2011年の東日本大震災。それを経験し、それでもなおピアノの前に座る坂本の傍らには、綺麗に削られトレイに揃えられた鉛筆たち。鉛筆はまるで現実世界へ対峙するための刀のように思えます。壊すと同時に壊されていく過酷な現実世界に誠実に向き合う姿からは複雑なものを複雑なまま捉えようとする姿勢がうかがえますが、そんな現実世界に絶望するのではなく、その姿を通じて、音楽を創ることの喜びやワクワクする気持ちも映画では捉えられていきます。


そんな背景をもって生まれた『async』は、「asynchronization」(非同期)の略であり、異なるリズムや響きをもった音をルールにそろえようとせずに共存させようとするダイナミックな一作でした。展覧会とあわせて、『async』の深淵なる音像、その秘密を垣間見てほしいです。

執筆:川添結生氏(京都シネマ)

 



11月17日(金)公開  ※一週間限定上映!⇛11/20追記 好評につき11/30まで上映延長決定!
「Ryuichi Sakamoto: CODA」

2017|アメリカ・日本|102分
監督:スティーブン・ノムラ・シブル
出演:坂本龍一
配給:KADOKAWA
©2017 SKMTDOC, LLC

★「AMBIENT KYOTO 2023」​展覧会チケットご提示で一般料金1900円のところ、1300円に割引!
詳細・上映スケジュールは京都シネマのホームページにてご確認ください。
https://www.kyotocinema.jp/information/182528/

「AMBIENT KYOTO 2023」​の詳細はこちらhttp://event.kyoto-np.co.jp/event/1693790126.2811.html



京都シネマは、四条烏丸にある複合商業施設「COCON烏丸」の3階にあるミニシアターです。
日本をはじめ欧米、アジアなど世界各国の良質な映画を3スクリーンで上映しています。

問い合わせ:075-353-4723

HP:https://www.kyotocinema.jp/