2020京都&滋賀 注目の展覧会①

2020京都&滋賀 注目の展覧会①

あけましておめでとうございます。2020年も「ことしるべ」をよろしくお願いします!
今年も京都・滋賀では注目の展覧会が盛りだくさん。ぜひ見ておきたいものを開幕日順に紹介します。


◇没後220年 京都の若冲とゆかりの寺 ―いのちの輝き―
1月4日~20日 京都髙島屋7階グランドホール


伊藤若冲「雪中雄鶏図」=細見美術館蔵

奇想の画家、伊藤若冲。彼が生涯を過ごした京都に伝わる名品の数々を、深いかかわりを持つ名刹や若冲収集で国内外に知られる細見美術館などの所蔵品により展覧します。
作品に共通しているのは、生きとし生けるものへの慈愛とまなざしです。緻密に描き込まれたディテール、ほほえましいユーモラスな表情など、優しくも生命力にあふれるよりすぐりの作品たちをお楽しみください。
また、近年研究が進み、注目されている若冲派と呼ばれる弟子たち。若冲の絵に憧れ、若冲を慕って試行錯誤した画家たちの作品も併せて紹介します。
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◇華めく洋食器 大倉陶園100年の歴史と文化
1月7日~3月29日 細見美術館


「瑠璃透彫サービス皿」1940-45年、個人蔵

1919(大正8)年に大倉孫兵衛、和親父子によって創設された大倉陶園は、世界に誇る作品を数多く生み出してきた、日本を代表する洋食器メーカーです。品格を備えた大倉陶園の磁器は、皇室をはじめ、数多くの文化人・財界人に愛されたほか、老舗ホテルやレストランでも供され、日本の洋風文化の一翼を担ってきました。本展では、草創期から現在までの作品を通じて、その優れたデザインや品質を紹介するとともに、日本の洋食器文化における同園の役割を探ります。また、最新の調査結果としてこれまで知られることのなかった創業当時など戦前の様子を伝える貴重な資料も展示します。
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◇シリーズ展6「仏教の思想と文化―インドから日本へ―」特集展示「仏像ひな型の世界」
1月9日~2月9日、2月22日~3月22日 龍谷大学 龍谷ミュージアム


神将形立像=江戸時代

仏像などの彫刻をつくる際、仏師たちは「雛型」と呼ばれる模型を使用しました。大きな仏像をどのようにして効率的に彫るかを考えるため、また注文主である施主や発願者に見せる完成予想図としての役割を果たしていたと考えられます。
全国各地で膨大な数の仏像がつくられた江戸時代、造仏界をリードしたのが七条仏師をはじめ、京都の仏師たちでした。本展では、「大仏師系図」にその名が記され、江戸時代から平成まで、15代の系譜を連ねた京都仏師の畑治良右衛門が伝えてきた貴重な雛型などを展観します。手のひらサイズの小さな雛型を通して、江戸時代の仏師の幅広い活躍が感じられます。


◇美人のすべて
1月29日~3月8日 福田美術館


上村松園「美人観月」(福田美術館蔵)

「美人画」とは容姿や装い、あるいは感情の動きや内面から醸し出される美しさなど、さまざまな観点から女性の魅力を描いた絵画のことです。明治以降、日本画の重要なジャンルとなり、多くの画家が絵筆を振るうなか、京都では女性初の文化勲章を受章した上村松園が活躍しました。本展では、理想的な「美」を追究した松園作品を中心に鏑木清方や伊東深水など、近代以降に東西で活躍した画家による美人画も展示します。またこのたび貴重な原画が発見され、初公開となる松園の「雪女」は、同じ作家の筆とは思えないほど、情念の描写が異彩を放つ作品です。ほかにも華麗な衣装、美しい仕草や表情を巧みにとらえた画家たちの描写力にぜひご注目ください。

◇京都 日本画新展2020
1月24日~2月3日 美術館「えき」KYOTO


大賞の監物紗羅「心の音」

若手日本画家の創作活動を奨励するため創設された「京都 日本画新展」はこれまで作品発表の場として、多くの作家を送り出してきました。12回目にあたる今回は、昨年11月の審査で大賞に輝いた監物紗羅さんの「心の音(いきのね)」や、優秀賞に選ばれた池上真紀さんの「幽幻」、清水葉月さんの「間戸(まど)」をはじめ、20~40歳代までの若手作家による力作40点を展示します。また、本展の推薦委員を務める日本画家の新作なども併せて発表します。これからの京都画壇を担う新進気鋭の作家による創造性豊かな作品をご覧ください。【入館無料】



優秀賞の池上真紀「幽玄」(上)、清水葉月「間戸」(下)

◇重要文化財「大津百艘船関係資料」指定記念企画展「江戸時代の琵琶湖水運―大津百艘船の航跡―」
2月29日~4月12日 大津市歴史博物館


「京極高次高札 1595(文禄4)年9月11日付」(重要文化財「大津百艘船関係資料」のうち) 大津市歴史博物館蔵

江戸時代の大津は、北は東北・北陸地方、東は美濃・伊賀・伊勢からの諸大名の年貢米や物資が琵琶湖水運によって中継される一大集積地でした。その水運の中心的役割を担ったのが、「大津百艘船」と呼ばれる船持ち仲間集団です。戦国時代を起源とし、江戸時代には、他浦を超越する権利を保持しながら、争論を通じてその地位を確立していきました。
本展では、大津百艘船仲間に保有されてきた史料群が、2018年10月に国の重要文化財に指定されたことを記念して、大津百艘船の活動や記録類を中心に琵琶湖水運の歴史を紹介します。


第2弾につづきます