【出品作品紹介】名碗シリーズ③

【出品作品紹介】名碗シリーズ③

約450年前、初代長次郎により誕生した樂茶碗。その表現は「踏襲」ではなく、それぞれの時代を各当代が生き、常に革新を続けながら焼き継がれてきました。現代からの視点で歴代の「今―現代」を見る本展。不連続の連続によって生み出される樂焼の芸術をご覧いただけます。

本展で公開される初代長次郎と当代・十五代 樂吉左衞門のお茶碗をシリーズでご紹介します。
 

太郎坊たろうぼう

「白鷺(しらさぎ)」につぐプリミティブな趣を残した赤樂茶碗、
比較的早期のものと考えられる。
長次郎は「聚楽土」と呼ばれる
聚楽第付近から出る土を用いて制作した。
赤樂茶碗の赤色は
聚楽土が火の中で赤く酸化した土の色である。
土自体のもつ温かな味わい、自然観こそが尊ばれる。
物質(土)の見せる視覚性と手触り、
すなわち触覚性が一体となる。

初代 長次郎 赤樂茶碗(重要文化財)裏千家今日庵蔵
 

白駱はくらく

「焼貫」と称する技法は、当代吉左衞門の主要な技法となっている。
それは文字通り「焼き貫く」と書くが、
鞴(ふいご)を取り付けた樂家独特の黒樂窯で、
黒樂茶碗よりもさらに激しく鞴を吹き温度を上げる。
高温の備長炭から発する激しいガスの気流が茶碗をとりまく。
そこで生み出される窯変は、ひとつとして同じものがない
独自の世界を形成する。
まさに自然の炎と人為がひとつに手を結ぶ瞬間である。

十五代 樂吉左衞門 焼貫樂茶碗 樂美術館蔵

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