約450年前、初代長次郎により誕生した樂茶碗。その表現は「踏襲」ではなく、それぞれの時代を各当代が生き、常に革新を続けながら焼き継がれてきました。現代からの視点で歴代の「今―現代」を見る本展。不連続の連続によって生み出される樂焼の芸術をご覧いただけます。
本展で公開される初代長次郎と当代・十五代 樂吉左衞門のお茶碗をシリーズでご紹介します。
ムキ栗むきぐり
高台から腰にかけては円形、
胴部と口部は四角形という異例の姿。
さらに注目すべきは見込みに広がる空間性である。
四角い口縁から見込みは、底へと深く彫り込まれていく内部空間。
そこには無限に広がる静寂が漂っているように感じる。
茶碗は内に空間を抱えるもの、
それは無限宇宙を抱えているとも言える。
初代 長次郎 黒樂茶碗(重要文化財)文化庁蔵
梨花りか
伝統規範性と革新的な作風の対峙、
その対峙が引き出す緊張した精神の磁場こそが重要。
対峙はさまざまなところで当代の作陶を意味付ける。
この茶碗では、手捏(てづく)ねと激しい篦(へら)削りとの対峙。
手捏ねは自然な手の姿、土と手の親和性、あるいは率直な身体性。
一方、篦削りは激しい意識性。
つまり手捏ねと篦との対峙は、自然と意識(人為)という哲学的な命題へと発展する。
十五代 樂吉左衞門 皪釉(れきゆう)樂茶碗 樂美術館蔵
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