【出品作品紹介】名碗シリーズ①

【出品作品紹介】名碗シリーズ①

約450年前、初代長次郎により誕生した樂茶碗。その表現は「踏襲」ではなく、それぞれの時代を各当代が生き、常に革新を続けながら焼き継がれてきました。現代からの視点で歴代の「今―現代」を見る本展。不連続の連続によって生み出される樂焼の芸術をご覧いただけます。

本展で公開される初代長次郎と当代・十五代  樂吉左衞門のお茶碗をシリーズでご紹介します。

 

大黒 おおぐろ

静かな深い存在感を湛える。
利休の侘びの思想が最も濃厚に表現された作品。
長次郎の黒樂茶碗を代表する。
力動感や量感、装飾性、さらには強い個性表現までも削ぎ落とし、
すっぽりと黒釉に覆われる「大黒」は、強い制作意図に貫かれている。

初代 長次郎 黒樂茶碗(重要文化財)個人蔵


吹馬 すいば

個展「天問」以後、当代吉左衞門の代表作の一つ。
躍動的な動きと存在感、さらにドローイングによる加飾がのびやかに描かれ幻想的でもある。
唐時代の詩人、鬼才・李賀のシュールレアリスティックな漢詩『神絃曲』から銘される。

「西山日没東山昏 旋風吹馬馬踏雲」『神絃曲』より

東は既に闇に没し 西には金色雲
幽かな残照を漏らしている
突然 旋風巻き起こり 馬を吹きあげ
馬、金色の雲を踏み 輝く残照の彼方へ
急ぎ駆けぬけてゆく


十五代 樂吉左衞門 焼貫黒樂茶碗 樂美術館蔵

 

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