泉屋博古館で昨年開催された展覧会 特別展「 木島櫻谷―山水夢中―」にあわせて実施した参加型プロジェクト「# おうこく足跡探訪」。木島櫻谷ののこした写生画から描かれた場所をみなさんで探るこのプロジェクトでは、櫻谷が足を運んだ写生地がいくつも明らかになりました。今回はそのひとつ、賀茂川を歩きながら写生体験ができる特別なイベントを開催されました。
#おうこく足跡探訪 みんなで歩いて描いてみよう@賀茂川
〔日時〕2023年3月11日(土)
〔場所〕賀茂川(北山~御薗橋界隈)
〔講師〕奥村 美佳氏(京都市立芸術大学 准教授・日本画家)
当日はお天気にも恵まれ、8名の参加者が集まりました。
まずはイントロダクションとして、「木島櫻谷―山水夢中―」を企画した、実方葉子氏(泉屋博古館学芸部長)からお話を聞き、
講師の奥村美佳氏から写生のポイントや画材の使い方を教えてもらいました。
プログラムは賀茂川沿いを北山大橋~御薗橋まで歩きつつ、対岸の風景を写生します。櫻谷が描いた景色を探しながら、「絵によるメモ」をとるような感覚で描き、写生の後はみんなで体験を振り返るというものです。
本日の画材はこちら
・画板(外で絵を描く時の机のような役割を果たします)
・巻紙(今回は小津和紙さんの巻紙を使用)
・筆ペン(奥村先生が一つ一つ調合した特別なもの。人によって青みがあったり赤みが出たりしていました)
・ミニパレット
それ以外にもティッシュやクリップなどを一人に1セットご用意いただきました。
各自散らばって、自分が気になった風景をおもいおもいの風景を描いていきます。
最後に参加全員で作品を鑑賞したのですが、一人ひとり線の使い方、場面の切り取り方が様々です。
筆ペンならでは、大きな滲みができてしまったり…。しかしこれも筆ペンの醍醐味!
実際に写生をしてみて、櫻谷さんの写生の技術の高さを改めて感じました。
他の参加者の皆さんも「難しかった!」「とにかく無心に描いていました」と。
奥村先生は「写生は写真と違い、描く人が美しいと思った風景を描くので、いらないものを切り捨てることができる。それが面白いのです。」と作品を見ながらコメントされていました。
写生を通して櫻谷さんがみた京都を追体験できたような一日でした。みなさまもぜひ美しい京都を描いてメモしてみてはいかがでしょう。
木島櫻谷《京都・加茂川写生》(写生帖より) 櫻谷文庫蔵