【明治150年展 明治の日本画と工芸 作品紹介②】安藤緑山「仏手柑」

【明治150年展 明治の日本画と工芸 作品紹介②】安藤緑山「仏手柑」

京都国立近代美術館で5/20まで開催中の「明治150年展 明治の日本画と工芸」の出品作品のうち、安藤緑山作「仏手柑」をご紹介します。


明治時代に入ると、政府は殖産興業や輸出振興政策を推進。ウィーン万国博覧会へ明治政府が正式参加したこともあって海外で日本美術の評価が高まり、それを受けて政府は国家戦略として工芸品の輸出に力を注ぎました。一方京都では、地場産業の振興を目的の一つとして京都府画学校が設立されるとともに、多くの日本画家が工芸図案制作に携わりました。

本展では、近代化していく社会の中で生み出された明治の美術品を展示しています。

今回は出品作品のうち、安藤緑山の「仏手柑」をご紹介します。

一見すると、変わった果物が置かれているようにしか見えないこの写真。
実は象牙から作られた牙彫と呼ばれる彫刻作品なんです。
仏手柑(ぶっしゅかん)とは、まるで手の形のように先端が分かれた柑橘の果物です。
皮の表面の小さなぶつぶつや、葉の厚みと光沢、よくしなりそうな枝の表現など、どこから見ても本物としか思えません!
他にも、タケノコやミカンなど本物そっくりな牙彫作品が出品されています。
驚異の写実表現をその目で確かめてみてください。