はじまりのネコ

はじまりのネコ

リサ・ラーソンは、スウェーデン・ヨーテボリにあるHDKヨーテボリ・デザイン工芸大学(現在の名称)を卒業後、陶磁器メーカーのグスタフスベリ社で実習生として1年間働き、1955年に同社のデザイナーとなっています。

ここで、学生時代に制作していたネコの作品を試作してみたところ、デザイン部門のチーフであったスティグ・リンドベリから、「他の動物もつくってみよう」と助言されました。

ヨーテボリの学生時代のリサ  1950年代初期

今回の展覧会では、学生時代に制作された8点が出品されています。

その中に誇らしげにしっぽをピンと立ち上げ、はつらつと歩くネコが含まれています。ネコの縞模様を釉薬で描き、土の質感を見せた作品です。ヨーロッパの陶磁器は、動物のフイギュアといえば、磁土が用いられ、写実的に動物を表現する伝統がありました。


ネコ(ユニークピース)
1952-1954年

スティグ・リンドベリは、この土味を生かし動物の特徴をとらえたリサ・ラーソンのネコに、新しいプロダクト・デザインの可能性を感じ取ったのでしょうか。これは、リサ・ラーソンの陶磁器デザイナーとしての原点ともいえる作品で、リサ・ラーソンが動物のデザインを手掛けるきっかけとなりました。そして「Lilla Zoo(小さな動物園)シリーズが誕生したのです。

ネコ-Cat/小さな動物園シリーズ
1958-1978年