8月10日(土)午前10時30分より、京都文化博物館フィルムシアターで、宮城県美術館学芸員の土生和彦氏による講演会「京と東北をつなぐ紅花の風景」が行われました。
講演中の土生和彦氏(宮城県美術館学芸員)
伝統的な「四季耕作図」の構成で紅花の栽培・生産の様子を描いた、本展注目の作品で華山風俗画の代表作「紅花屏風」についての講演会は、そもそも紅花とはどのような植物なのか、という話から始まり、その栽培の歴史・方法、そしてジブリの映画「おもひでぽろぽろ」についてまで話題が広がっていきました。
生産地の山形と、口紅や着物の染料として加工・消費される京都、江戸との関係性。そして本作が、京都の紅花問屋から注文された華山が描き、それが山形の紅花商人、さらに山形の豪商に渡り現在の山形美術館に寄贈されるといった、興味深い所蔵の変遷の話も聞くことができました。
大勢のお客様に聴講いただきました
講演会後半は、作品についての解説に突入。
紅花の栽培から加工、運搬までの作業の様子とともに、遊んでいる子供たちや、喧嘩している大人たちなども描かれている面白さについて。
また、運搬の様子が描かれているところでは、京都の紅花問屋の荷印がきちんと描かれているなど、隅々まで細やかに描きこまれている作品であることを、画面を拡大しながら解説してくださいました。
紅花屏風 右隻 文政6(1823)年 山形美術館・(山) 長谷川コレクション ※展示期間:8月3日(土)~17日(土)
ぜひ、会場で実物をスミからスミまで、右左隻ともにゆっくりご鑑賞ください!