「堂本印象美術館に川端龍子がやってくる―圧倒的迫力の日本画の世界―」担当学芸員の松尾敦子さんより、本展の見どころ解説を頂きました。
3回に分けてご紹介します。
(※本記事は京都新聞11月9日(土)夕刊 読者とつながる夕刊版からの再録です)
ところで、展覧会開幕の初日だった10月12日は、台風第19号の影響のため休館となった。
展示作品の一つ、「逆説・生々流転」は、昭和33(1958)年の狩野川台風に取材した全長28メートルに及ぶ長巻。
今回の台風第19号が、狩野川台風に類似する規模を持つと報道されたことに、因縁めいたものがあるような気がした。
作品には、台風の発生から日本上陸とその被害状況、復興までの物語が描かれている。
龍子は、若い頃、画業の傍ら新聞の挿絵で生計を立てていた。その時培った観察眼と描写力が冴え、今見ても古さを感じさせず、今回の台風の被害映像と重なって見える。
まさに龍子芸術の持つ不思議な魅力といえるだろう。
寄稿:京都府立堂本印象美術館 松尾敦子学芸員
松尾学芸員、ありがとうございました。
「堂本印象美術館に川端龍子がやってくる―圧倒的迫力の日本画の世界―」は京都府立堂本印象美術館にて11月24日(日)までの開催です。