出品作品の中から「ゆかいなキャラクター」を紹介します。
地蔵菩薩(じぞうぼさつ)
(『十王図』(部分) 江戸時代 京都・永観堂禅林寺より)
数ある菩薩の中で、日本人にもっとも馴染み深いのが「観音さん」と「お地蔵さん」でしょう。ことにお地蔵さんは、地蔵盆では主役で、子どもと強く結びついています。図版は京都の永観堂に伝わった十王図の一場面。親より先に亡くなった子どもが赴く賽の河原、鬼に蹴散らかされようが小石を積み重ね続ける子ども、そこへ救済に現れたのがお地蔵さん。お地蔵さんは賽の河原のみならず、六道輪廻に苦しむすべての衆生を救うため、地獄へも来てくれます。古代の中国から日本でも、地蔵は冥界の審判者である十王とともに描かれ、閻魔王の本地仏ともなりました。地獄への恐怖におののく衆生にとって、間違いなくスーパースターでした。
(龍谷大学 龍谷ミュージアム 副館長 石川 知彦)