地獄オールスターズコレクション Vol.3 葬頭河婆(そうづかのばば)

地獄オールスターズコレクション Vol.3 葬頭河婆(そうづかのばば)

出品作品の中から「ゆかいなキャラクター」を紹介します。

葬頭河婆(そうづかのばば)
(『木造 葬頭河婆坐像』木喰明満作 江戸時代 兵庫・東光寺より)

奪衣婆(だつえば)という名前でも有名な名物おばあちゃん。
人は死後、その罪状を閻魔王ら10人の王によって裁かれます。2番目の王である初江王(しょこうおう)へおもむく前に、三途の川(葬頭河)を渡ることになります。葬頭河婆は、その川のほとりの大樹の下で、亡者の衣服を剝ぎ取り、急流を渡るよう追い立てる鬼女です。はだけた胸元からは浮き上がった肋骨、萎えた乳房を露わにし、片膝を立てて坐し、異様な形相で亡者に迫ります。木喰作の葬頭河婆は、一般的な面貌とは異なり、歯を剝いて満面の笑みをたたえているかのようで、どこか諧謔味があります。ただし、衣を握る左手は力強く、見開かれた目は亡者をとらえてけっして離しません。

(龍谷大学 龍谷ミュージアム リサーチアシスタント 丹村 祥子)