2018年3月にリニューアルオープンした京都府立堂本印象美術館。
開館当初の明るくて美しい色合いの外観の復活、庭園整備や隣接する京都市バスの停留所を一体感のあるデザインとするなど好評を得ています。
リニューアルオープンを記念した展覧会「堂本印象 創造への挑戦」が6月10日まで、「きぬかけの路」にある同館(京都市北区平野上柳町)で開催中です。
この展覧会では、堂本印象の若き日から晩年までの代表作を一堂に見ることができるほか数十年ぶりに同館で展示される話題作品もご覧いただくことができます。そこで、同館学芸員の松尾敦子さんに、その中でも「特にご覧いただきたい作品」をご紹介いただきました。
今回は、5月2日からの後期展示より展示が始まった作品を取り上げます。
堂本印象「法然上人 隆信御影 模写」(ほうねんしょうにん たかのぶのみえい もしゃ)
1932年(昭和7) 41歳
知恩院蔵
法然上人は平安末期~鎌倉前期に活躍した浄土宗の開祖です。昭和6年(1931) 知恩院より法然上人像の模写の依頼を受けました。知恩院には法然上人の肖像画が数点あり、印象が手がけたのは伝藤原隆信筆のものです。
堂本印象「大原談義」(おおはらだんぎ)
1931年(昭和6) 40歳
知恩院蔵
法然上人は、天台宗の顕真の要請で1186年に大原の勝林院で、極楽浄土や念仏についての教義問答を行いました。世にいう大原談義です。画面左上に描かれた法然上人の隣には東大寺の重源がいます。対する右には顕真ら高僧が座しています。手前の烏帽子の人物は、のちに法然上人に帰依する摂政九条兼実です。