【報告】ギャラリートークが開催されました!

【報告】ギャラリートークが開催されました!

4/21(土)、「永遠の少年、ラルティーグ ―写真は魔法だ!―」のギャラリートークが開催されました。その様子をご紹介します。
(本展は写真撮影禁止です。今回は特別な許可をいただいて撮影しております)


今回の講師は本展企画者の株式会社コンタクト・佐藤正子さん。
「ソール・ライター展」や「パリ・マグナム写真展」など多くの写真展の企画運営に携わってきた方です。佐藤さんと会場内を歩みつつ、ラルティーグの作品やこの展示に込めた思いについて語っていただきました。

第1展示室では、ラルティーグの少年時代に撮られた写真が並びます。

ラルティーグはフランスで8番目のお金持ちになったこともあるほどの裕福な家庭に生まれ育ちました。ラルティーグ少年は幸せな毎日を過ごしますが、その楽しく幸せな日々がいつか消えてしまうのではないかということを非常に恐れてもいました。そんな繊細な息子を見かねた父親が、ラルティーグが7歳の時にカメラを与えました。日々の瞬間を残せるカメラに夢中になったラルティーグは、以後生涯にわたって写真を撮り続けることになります。

「ラルティーグの写真の特徴として、跳んでいる瞬間をとらえた写真が多いということが言えます」と佐藤さん。実際に会場では、ネコがジャンプする瞬間や、いとこが階段から跳び下りる瞬間をとらえた写真など躍動感あふれる作品が多数展示されています。「一瞬の瞬間を切り取るという写真の特性を、ラルティーグが幼いころからよく理解していたことが分かりますね」と語りました。


続く第2展示室は淡いブルーの展示壁が印象的です。

こちらでは、ベル・エポック<麗しき時代>と呼ばれた20世紀初頭や、第1次世界大戦の頃に撮影されたモノクロ写真のほか、日本初公開となるカラー写真の作品が並びます。
今までは技術的な問題から展示や複製が難しく一部を除いてほとんど公開されることのなかったラルティーグのカラー写真ですが、デジタル技術の向上によりこの度の展示がかなったそうです。


ラルティーグは生涯にわたって幸せな瞬間を集めたアルバムを編み続けていました。

ここでは現在残される135冊のアルバムの中から一部を複製して展示。

ボールが映り込んでいる写真ばかり集めたページや、スポーツの写真ばかりあつめたページなどページごとの主題に合わせて写真が組まれています。中には同じ写真を複数回使用していたり、向きを反転させて使用しているものもあります。

「ラルティーグはレイアウトも天才的。ネガからプリントした写真そのものより、ラルティーグ自身の意図で編纂されたアルバムこそが彼の“作品”と言えるかもしれません」と佐藤さん。


最後の展示室は佐藤さん曰く「綺麗な女性と、幸せなお金持ちライフの部屋」。

彼の撮った美しい女性の写真や、カンヌの社交界仲間として出会ったパブロ・ピカソの写真、アメリカで親交を深めた写真家リチャード・アヴェドンを撮った写真などが展示されています。
またラルティーグが当時使用していたものと同型のカメラも展示。
立体的に浮かび上がって見えるステレオ写真を体験することもできます。

本展について「埼玉・福島と巡回した展示ですが、今回は細見美術館に合わせて新しい展示を企画するつもりで一から再構成しました。すでに他会場で見た方にも改めてお楽しみいただけます」と佐藤さんは語ります。

生涯にわたって好きなものばかりを撮り続けたラルティーグ。
本展は、幸せに満ち溢れる彼の写真と細見美術館が持つ親密な空気感が調和し、心温まる空間に仕上がっています。
是非、細見美術館でラルティーグの世界に浸り、写真の楽しさ・人生の歓びを感じてみてください。