国宝「三十六人家集」特別公開特集 ②

国宝「三十六人家集」特別公開特集 ②

この秋から西本願寺で第25代専如門主伝灯奉告法要が行われるのを記念して、浄土真宗と本願寺の展覧会を開催します。宗祖・親鸞聖人から安土桃山時代に活躍した第11代顕如宗主までの歴代宗主に加え、専如門主に受け継がれてきた法宝物や国宝「三十六人家集」をはじめとする名宝など約120件を公開します。国宝「三十六人家集」は、平安時代に選ばれた和歌の名手三十六人歌仙の家集を集大成した、現存最古とされる西本願寺蔵の37帖です。本展で公開される5帖(「小町集」「元真集」「家持集」「忠見集」「敦忠集」)をシリーズで紹介します。

第2回目は、「元真集」です。※10月30日(日)まで展示

国宝「本願寺本 三十六人家集」37帖のうち元真集 彩箋墨書 平安時代後期(12世紀) 西本願寺蔵

国宝「本願寺本 三十六人家集」37帖のうち 元真集 彩箋墨書 平安時代後期(12世紀) 西本願寺蔵

国宝「本願寺本 三十六人家集」37帖のうち 元真集

藤原元真(ふじわらのもとざね、生没年未詳)は平安中期の歌人。本集は料紙45紙に337首の歌が写されており、最多の歌数を誇る。写真の箇所は、7種類の異なる紙を刃物で直線的に切って継いだり(切継 きりつぎ)、曲線に破いて継いだり(破継 やぶりつぎ)して一枚に整えられた料紙に、銀泥で花唐草や菱(ひし)唐草文、金泥で鳥の群れや秋草などが描かれ、そこに詩歌が墨書されており格調高い古筆として知られる。

元真は幼いころより歌の才能を発揮し、『後拾遺和歌集』以降の勅撰和歌集に多くの詩歌を選出される。天徳4(960)年の内裏歌合(うたあわせ)では、中納言藤原朝忠(あさただ)と対戦した。

龍谷大学 龍谷ミュージアム  岩田朋子