国宝「三十六人家集」特別公開特集 ①

国宝「三十六人家集」特別公開特集 ①

この秋から西本願寺で第25代専如門主伝灯奉告法要が行われるのを記念して、浄土真宗と本願寺の展覧会を開催します。宗祖・親鸞聖人から安土桃山時代に活躍した第11代顕如宗主までの歴代宗主に加え、専如門主に受け継がれてきた法宝物や国宝「三十六人家集」をはじめとする名宝など約120件を公開します。国宝「三十六人家集」は、平安時代に選ばれた和歌の名手三十六人歌仙の家集を集大成した、現存最古とされる西本願寺蔵の37帖です。本展で公開される5帖(「小町集」「元真集」「家持集」「忠見集」「敦忠集」)をシリーズで紹介します。
※10月24日(月)まで展示

小町集

国宝「本願寺本 三十六人家集」37帖のうち 小町集 彩箋墨書 江戸時代(17世紀) 西本願寺蔵

 

国宝「本願寺本 三十六人家集」37帖のうち 小町集

「花の色は 移りにけりな」の和歌で知られる絶世の美女・小野小町。その人気は現代と同様抜群であったためか、家集は早くに散逸していたようで、平安時代の原本は一切伝わらない。これを江戸時代に補って歌を認(したた)めたのが、歌道に秀でた公家・烏丸資慶(からすまる すけよし 1622〜70年)。とはいえ「小町集」も国宝に指定され、料紙装飾には、繊細華麗さを誇る平安時代の美意識とは別の魅力がある。料紙には舞い飛ぶ鳥が金銀で描かれ、大胆かつ瀟洒(しょうしゃ)な継紙(つぎがみ)の技法は、琳派の意匠や片身替わりの小袖にも通じる。料紙27紙に118首が収められる。

龍谷大学 龍谷ミュージアム  副館長 石川知彦