「京都シネマSTAFFの今月のオススメ」では、京都シネマで公開される毎月の上映作の中から、
京都シネマスタッフによる一押し作品をご紹介します。
3月のオススメはこちら!
離婚、定年、ひとり暮らし。第二の人生は中国警察のスパイ!?
定年退職した69歳のジェリーにかかってきた1本の電話。
彼は、それを機に“スパイ”として捜査に協力することに…。
そんな実際に起きた信じがたい事件の当事者ジェリーがこなした激レア体験を、彼自身が脚本を書き、主演俳優として出演、そして息子が製作し、離婚した妻もふくめて家族総出で助演を務めました。
前代未聞、異色ずくめの本作は、スラムダンス映画祭やサンタバーバラ国際映画祭など40もの世界映画祭で多くの賞にノミネートされ、最優秀主演男優賞を含む受賞歴を獲得しました。
主人公は、ジェリー・シュー。
1970年代に台湾からアメリカに渡った移民1世で、かつては脚本の執筆と演技に情熱を燃やしていましたが、3人の息子と妻を支えるために夢を諦めてエンジニアとしてこつこつ40年勤務。
この地で成功することを夢見てきたものの、いまや妻とは離婚し、定年退職。
息子たちもそれぞれ自立をして、ひとり暮らしをしています。
ある日、そんな彼のもとに中国警察から緊急の電話があり、国際的なマネーロンダリング事件の捜査で第一容疑者になっていることを知らされました。
逮捕の上、中国に強制送還すると告げられたジェリーは、潔白を証明するために中国警察のスパイとして事件の捜査に協力させられるはめになり…。
家族総出で出演していることもあって、ドキュメンタリーとフィクションの境界が常にあいまいになります。
ジャンルや形式を巧みに利用して、あるときは緊迫感のある犯罪スリラーに仕立て上げ、そしてあるときは、移民家族の悲劇について鋭い視点を投げかける。
予測不可能な遊び心のある構想とジェリー自身が執筆した生命力あふれる脚本がこの映画を驚くほど新鮮な作品に仕上げています。
有名な俳優は出ていませんが、没入感たっぷりでスクリーンから目が離せなくなるはずです。
執筆:川添結生(京都シネマ)
3月20日(木)公開
「ジェリーの災難」
(原題)Starring Jerry as Himself
2023/米/75分
監督:ロー・チェン
出演:ジェリー・シュー
©2023 Forces Unseen, LLC.
【上映スケジュール】
京都シネマの公式ホームページにてご確認下さい。
京都シネマは、四条烏丸にある複合商業施設「COCON烏丸」の3階にあるミニシアターです。
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