【ことしるべおでかけクラブ スタッフおススメスポットvol. 150】京都シネマSTAFFの今月のオススメ「ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうた」

「京都シネマSTAFFの今月のオススメ」では、京都シネマで公開される毎月の上映作の中から、
京都シネマスタッフによる一押し作品をご紹介します。
2月のオススメはこちら!

 

音楽への情熱と家族の絆が時をこえて再び輝きを放つまで。

みなさんは「ドニー&ジョー・エマーソン」のことを知っているでしょうか。
1979年に父親自作の録音スタジオでエマーソン兄弟が制作したアルバム「Dreamin′Wild」は、発売当時は無名のまま終わりましたが、2010年代になってからアルバムが再発見され、2012年に再リリース、そして鬼才アリエル・ピンクがカバーしたことをきっかけにより広く知れ渡ることとなりました。
甘酸っぱい青春の不器用さと、それに反するようないぶし銀のサウンド。
まるで90年代の空気を先取りしたようなメロウでロウファイな楽曲は、2020年代になった今でも評価されるに値する素晴らしいアルバムです。
そして、今回紹介する『ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうた』は、「ドニー&ジョー・エマーソン」の実話をもとに、過去にとらわれた一人の男が解放と再生にいたるまでを描いた、音楽映画でもあり、家族映画でもある必見の一作です。

2011年、アメリカ。レコーディング・スタジオを経営するドニー・エマーソンは、ある日兄のジョーから電話を受けます。
なんと、自分たちが10代のころにつくった自主レコードが“埋もれた傑作”として再評価されているという知らせでした。
レコード会社から再発盤を出さないかと提案を受けますが、大喜びする家族を横目にドニーの表情は冴えません。
それは、彼が目を背けてきた過去や感情と向き合うことを余儀なくされることでした……。

『ブロークバック・マウンテン』をプロデュースするなどプロデューサーとしても活躍し、監督を務めた『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』ではザ・ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンの半生を描いたビル・ポーラッド監督が8年ぶりにメガホンをとった長編3作目です。
「ドニー&ジョー・エマーソン」が音楽界にカムバックするという輝かしい成功物語にはせず、自分の夢のために家族にあらゆるものを諦めさせ、失わせてしまった過去の後悔や自己嫌悪におちいっていたドニーが、そこから抜け出すまでの再生物語として再構築していきます。
夢が壊れてしまったあとの人生を人々はどうやって肯定していけるのでしょうか。
ドニーの物語は、壊れた夢がそのあと続く人生にいかに深く影響を与えるかを思慮深く描きます。
エマーソン兄弟の音楽を知らなくても、夢に破れたことがある人にならきっと深く刺さる内容になっています。

執筆:川添結生(京都シネマ)



2月7日(金)公開 
ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうた
(原題)Dreamin’ Wild
2022/米/111分
監督:ビル・ポーラッド
出演:ケイシー・アフレック、ノア・ジュプ、ズーイー・デシャネル
©2022 Fruitland, LLC. All rights reserved.

【上映スケジュール】
2月7日~2月13日: 9:55~、13:55~、16:05~、20:15~
以降のスケジュール、終映日は未定
詳細・最新情報は京都シネマの公式ホームページにてご確認下さい。

 



京都シネマは、四条烏丸にある複合商業施設「COCON烏丸」の3階にあるミニシアターです。
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