「京都シネマSTAFFの今月のオススメ」では、京都シネマで公開される毎月の上映作の中から、
京都シネマスタッフによる一押し作品をご紹介します。
1月のオススメはこちら!
家族の歴史と絆、そして心の痛みを辿る、笑いと涙のロードムービー。
『ソーシャル・ネットワーク』でブレイクし、以降も独自のフィルモグラフィを積み上げてきた俳優ジェシー・アイゼンバーグ。
満を持した初監督作『僕らの世界が交わるまで』というキュートな家族映画に続き、監督第二作目『リアル・ペイン 心の旅』は、「家族」が持つ歴史と痛みについての物語になりました。
正反対のいとこ同士が、ユダヤ系の亡き祖母を偲ぶために参加したポーランドの史跡ツアーで、さまざまな葛藤と向き合っていきます。
かつて、兄弟同然に育ったものの、近年は疎遠となってしまったデヴィッドとベンジーが、数年ぶりに再会します。
亡くなった最愛の祖母を偲ぶために、彼女の故郷ポーランドを旅することに。
ホロコーストに関する地を巡る史跡ツアーに参加した彼らは、さまざまな過去を持つ人々と交流し、そして揺れ動く感情に戸惑い……。
監督のほか、主演、脚本も務めたジェシー・アイゼンバーグですが、本作を生み出すきっかけとなったのは、妻アンナ・ストラウトとのポーランド旅行。
ともにユダヤ系アメリカ人であるふたりは、ホロコーストにより迫害されたアイゼンバーグ監督の叔母が1939年まで住んでいた村の小さな家を訪れた体験をもとに映画を思いついたとか。
映画は、その実体験をフィクションに落とし込み、40代のいとこ同士のふたりが最愛の祖母を偲ぶために参加したポーランドのツアー旅行で、さまざまな地を巡りながら、家族のルーツやそれぞれの人生の葛藤と向き合っていきます。
人の笑顔の裏側に苦しみと哀しみがある。美しい景観の裏側にも影の歴史がある。
誰もが歴史的な痛みと無関係にはいられない今、個人が今生きる上で感じている痛みと、長らく地に横たわる歴史的痛みがゆるやかに交差し、共感の難しさを抱えることと、寄り添い何かを感じようとすることが共存可能であることを教えてくれます。
いとこであるデヴィッドとベンジーを演じるのは、ジェシー・アイゼンバーグとキーラン・カルキン。
凸凹なふたりがたどり着いた、爽やかな結末がこの映画を忘れがたいものにするでしょう。
執筆:川添結生(京都シネマ)
1月31日(金)公開
リアル・ペイン 心の旅
(原題)A Real Pain
PG12/2024年/米/90分/
監督:ジェシー・アイゼンバーグ
出演:ジェシー・アイゼンバーグ、キーラン・カルキン、ウィル・シャープ、ジェニファー・グレイ
©2024 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.
【上映スケジュール】
1月31日~2月6日: 9:55~、13:35~、15:25~、19:40~
2月7日~2月13日:12:05~、14:20~、19:50~
詳細・最新情報は京都シネマの公式ホームページにてご確認下さい。
京都シネマは、四条烏丸にある複合商業施設「COCON烏丸」の3階にあるミニシアターです。
日本をはじめ欧米、アジアなど世界各国の良質な映画を3スクリーンで上映しています。
問い合わせ:075-353-4723
HP:https://www.kyotocinema.jp/