【ことしるべおでかけクラブ スタッフおススメスポットvol. 124】京都シネマSTAFFの今月のオススメ『テルマ&ルイーズ4K』

【ことしるべおでかけクラブ スタッフおススメスポットvol. 124】京都シネマSTAFFの今月のオススメ『テルマ&ルイーズ4K』

女性ふたりの冒険と友情を描き、抵抗と自由を求める女性という革新的なキャラクターとして愛され続けているルイーズとテルマ。
性暴力を受けた“女性の正義”というテーマや、友情か愛情かで議論が巻き起こった親友ふたりのラストシーンなど、公開から30年経った今でも、まったく色褪せず、むしろ、今日のように“性差”について考えられるようになったからこそ、生き生きと輝く一本であるはず。
理不尽な規範のなかで縛られてきたふたりが、危険な旅を通して自己発見と変化を繰り返し、大胆なアウトローへと変貌していく。軽やかで、解放的な女性たちのための物語です。

平凡な主婦のテルマとウェイトレスのルイーズは週末のドライブ旅行に出発。
その途中、立ち寄った店の駐車場でテルマが男に襲われそうになり、助けに入ったルイーズが護身用の拳銃で男を射殺。
さらに次から次へとトラブルが重なり、警察に指名手配された2人は、車でメキシコを目指し逃避行を続けるうちに、自分らしい生き方に目覚めていく……。

逃亡犯として逃げているのはもちろん、彼女たちは家に戻ることで「女性の役割」に押し込まれる現実や「女性」であるがゆえに虐げられる現実から逃亡します。
亭主関白な夫のもとで抑圧され、どこか子どもっぽさをともなっていたテルマと、そんな彼女を姉のように支えるルイーズの関係性が道中、失敗や支え合いを繰り返しながら、自分のなかに内在してしまった規範の殻を破り、強さを手にしていく姿がカッコイイ。
かつて、アメリカン・ニューシネマが確立した自由を追い求めるロードムービーは、社会の呪縛から逃れ、理想郷を目指すという男性を主役においた物語形式でした。
そんな男性の領域に女性主人公が闖入するという先駆的な設定が、男性が運転する車の助手席に乗る女だけでなく、自らハンドルを握ることも、男の身体をまなざす主体であることも、女はできるのだという力強いメッセージとなっています。
NOがNOと受け取られないようなレイプファンタジーがはびこる男権的な社会へ、痛烈に、かつある種の軽やかさをもって絶対的なNOをつきつけます。
3月8日から〈きょうとシネマクラブ〉で上映するレイプ・リヴェンジのカルト的傑作『天使の復讐』とあわせてご覧ください。


執筆:川添結生氏(京都シネマ)



3/1(金)公開
『テルマ&ルイーズ 4K』 

(原題)Thelma&Louise 1991年/米/129分
監督:リドリー・スコット
出演:スーザン・サランドン、ジーナ・デイヴィス、ハーヴェイ・カイテル、ブラッド・ピット
Thelma & Louise © 1991 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.
*京都シネマでは2K上映です

【上映スケジュール】
3月1日~7日:14時30分~、
3月8日~14日:20時15分~
※3月21日上映終了予定
詳細は京都シネマの公式ホームページにてご確認下さい


京都シネマは、四条烏丸にある複合商業施設「COCON烏丸」の3階にあるミニシアターです。
日本をはじめ欧米、アジアなど世界各国の良質な映画を3スクリーンで上映しています。

問い合わせ:075-353-4723