「京都シネマSTAFFの今月のオススメ」では、京都シネマで公開される毎月の上映作の中から、
京都シネマスタッフによる一押し作品をご紹介します。
9月のオススメ作品はこちら!
特集 みんなのジャック・ロジエ
輝く季節を軽やかに、そして大胆に切り取ったジャック・ロジエの特集上映を開催!
2023年6月2日、フランスのヌーヴェル・ヴァーグの監督のひとり、ジャック・ロジエが逝去しました。享年96歳でした。彼の映画は、冒険とハプニングの喜びに満ち溢れたものばかりでした。そんなロジエ監督の作品を上映。寡作な作家としても知られる彼の長編劇映画全5作品のうち、劇場初公開作品2作品をふくむ、長編4作品と短編2作品です。そのなかでも、完璧なデビュー作として、青春を閉じ込めた永遠の傑作『アデュー・フィリピーヌ』を紹介します。
舞台は、アルジェリア戦争さなかの1960年、パリ。兵役を数か月後にひかえた青年ミシェルは、勤務先のテレビ局でリリアーヌとジュリエットという仲の良い女の子たちと出会います。リリアーヌとジュリエットは次第に、ミシェルに惹かれていきますが、彼はどちらともうまくやろうとする。そんななか、仕事でヘマをしたミシェルが兵役前のヴァカンスを楽しもうと、コルシカ島へ旅立ち…。本作は、ふたりの女の子とひとりの男の子による三角関係を描いた夏のヴァカンスのお話です。詰んでも能天気、ケ・セラセラの精神。スクリューボールコメディのような軽快なタッチを貫きながら、このヴァカンスの陽気さの裏側で戦争を起こっていることを思い出してしまう。だからこそ!無駄に笑い転げること、無駄に不機嫌になること、無駄にバカ騒ぎすること、その一見無意味に見える、ただそのときの瞬間に息づく感情が切実さをもって迫ってきます。とくにリリアーヌとジュリエットの生き生きとした輝きが忘れがたいガーリームービーでもあります。
今回劇場初公開の『トルテュ島の遭難者たち』は抱腹絶倒、ハプニングだらけの冒険ヴァカンス、『メーヌ・オセアン』は、大西洋の島へ行く冬の小さなヴァカンス、そしてこちらの劇場初公開の『フィフィ・マルタンガル』はヴァカンス映画から一転演劇の舞台へと変転。どの作品も荒唐無稽でたのしく、軽やかな自由と好奇心があふれた傑作群たちをお見逃しなく!アデュー、ジャック・ロジエ!
執筆:川添結生氏(京都シネマ)
特集 みんなのジャック・ロジエ
9月8日(金)公開
【上映スケジュール】
詳しくは京都シネマの公式ホームページにてご確認下さい。
『アデュー・フィリピーヌ』
Adieu Philippine
1962|仏、伊|110分
©1961 Jacques Rozier
『トルテュ島の遭難者たち』※劇場初公開
Les Naufragés de l'île de la Tortue
1976|仏|146分
©1974 Jacques Rozier
『メーヌ・オセアン』
Maine Océan
1985|仏|136分
©1986 Jacques Rozier
『フィフィ・マルタンガル』※劇場初公開
Fifi Martingale
2001|仏|120分
©1997 Jacques Rozie
(短編)「パパラッツィ」
Paparazzi
1963|仏|22分
©1963 Jacques Rozier
(短編)「バルドー/ゴダール」
Le Parti des choses : Bardot/Godard
1963|仏|10分
©1963 Jacques Rozier
京都シネマは、四条烏丸にある複合商業施設「COCON烏丸」の3階にあるミニシアターです。
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