【ことしるべおでかけクラブ スタッフおススメスポットvol. 84】京都シネマSTAFFの今月のオススメ「グリーン・ナイト」

【ことしるべおでかけクラブ スタッフおススメスポットvol. 84】京都シネマSTAFFの今月のオススメ「グリーン・ナイト」

「京都シネマSTAFFの今月のオススメ」では、京都シネマで公開される毎月の上映作の中から、
京都シネマスタッフによる一押し作品をご紹介します。
11月のオススメ作品はこちら!

 

ある若者のダークで奇妙、そして異形な冒険物語。

いったい、わたしはいまなにを見せられたのか。映画を見たあと、明るくなった劇場のなかでひとり茫然としてしまうような作品に、ときどきぶち当たります。それが、デヴィッド・ロウリー監督の2017年の作品『A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー』でした。まっしろなシーツにすっぽり身をつつんだおばけがみた悠久の物語は、奇妙でいて、可愛らしくもあって、とても親密で、でも、いったいわたしはいま、なにを見たんだろうと衝撃を受けたのをよく覚えています。そんなデヴィッド・ロウリー監督の最新作『グリーン・ナイト』は、『A GHOST STORY』以上の衝撃をもった奇妙な冒険物語。2022年は、『カモン カモン』にはじまり、『Xエックス』『Zolaゾラ』、そして『LAMBラム』と話題作連発の(映画ファンにはおなじみの!)A24祭りも終盤に差し掛かり、いっとう異様な存在感を放つ傑作です。

物語は中世。アーサー王の甥として、怠惰な日々を送るサー・ガウェインが主人公。彼はまだ正式な騎士ではなく、語ることのできる英雄譚もありません。そんなあるクリスマスの日、円卓の騎士たちが集う王の宴に異様な風貌の緑の騎士が現れ“遊び事”と称した恐ろしい首切りゲームを提案します。――「私に一撃を加えろ。その者には栄誉と名誉を与えよう。しかし一年後に私を捜し出し私からの反撃を受けるのだ」。その挑発に乗ったガウェインは、彼の首を切り落とします。すると、首なき緑の騎士は、床に転がった首を拾い上げて走り去っていき…。

原作となった中世に編まれた作者不明の叙事詩『サー・ガウェインと緑の騎士』は、『指輪物語』のJ・R・R・トールキンを魅了し、彼が現代英語に翻訳したこともあって、現代にも広く読まれてきた中世文学の傑作です。幻想的で魅惑的な映像は、物語に詩を与え、ファンタジーの世界をつくりあげる。しかし、その世界は、同時に現実と地続きのように、驚異、謎、劇的な世界の広がりと出会うことで、高潔さも知恵も勇敢さも慈悲深さももっていなかった主人公ガウェインにあたらしい物語を生み出させるのです。そして彼は物語を作る側へと、つまり伝説になることを受け入れる。まるで雲をつかむような不思議な映画です。スタジオA24は、ジャンル映画を換骨奪胎し、さまざまな側面から物語をみるおもしろさを教えてくれることで定評がありますが、今作も一筋縄ではいかなさそう…。みなさんも、劇場でこの詩情豊かで奇妙な冒険物語に触れてみてください。

執筆:川添結生氏(京都シネマ)



11/25(金)公開
『グリーン・ナイト
(原題)The Green Knight
2021/米、他/130分
監督:デヴィッド・ロウリー
出演:デヴ・パテル、アリシア・ヴィキャンデル、ジョエル・エドガートン、サリタ・チョウドリー
©2021 Green Knight Productions LLC. All Rights Reserved

【上映スケジュール】
京都シネマの公式ホームページにてご確認下さい。


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