【ことしるべおでかけクラブ スタッフおススメスポットvol. 48 】京都シネマSTAFFの今月のオススメ「ベルヴィル・ランデブー」

【ことしるべおでかけクラブ スタッフおススメスポットvol. 48 】京都シネマSTAFFの今月のオススメ「ベルヴィル・ランデブー」

「京都シネマSTAFFの今月のオススメ」では、京都シネマで公開される毎月の上映作の中から、
京都シネマスタッフによる一押し作品をご紹介します。
7月のオススメ作品はこちら!

21世紀仏アニメーション、伝説の傑作を上映!大都市ベルヴィルで繰り広げるおばあちゃんの大冒険!

極めて個性的で、毒っ気もふんだんに、ほろ苦い人生について描いた『ベルヴィル・ランデブー』。
愛しい孫をさらわれたおばあちゃんと愛犬がマフィアを壊滅させるというおかしくもカッコイイフレンチ・アニメの傑作です。
さまざまなものがカリカチュアライズされたその画風と、ヨーロッパ独特の渋みがかった温かな色味は、公開当時、忘れえぬ余韻を残しました。
そんな『ベルヴィル・ランデブー』が製作20年を経て、待望のリバイバル上映です!

物語は、内気で孤独な男の子シャンピオンが、おばあちゃんと暮らす1950年代頃から幕を明けます。
孫を不憫におもうおばあちゃんは、ある日子犬をプレゼントしますが、なによりも彼が喜んだプレゼントは、自転車。
シャンピオンは、自転車レースが大好きでした。
しばらく経ち、おばあちゃんとともに特訓を重ね、青年になったシャンピオンは、ついにツール・ド・フランスに出場するも、事件が起きます。
マフィアに誘拐された孫を追って、愛犬ブルーノとともにおばあちゃんはシャンピオン奪還のための大冒険へ。
海を越えてたどり着いた大都市ベルヴィルで、伝説の三つ子ミュージシャンの老婆たちと力を合わせて、難局を乗り切っていきます。
果たして!おばあちゃんはシャンピオンを奪還できるのでしょうか…。

この作品は、なによりも目で見てたのしいというアニメーションの魅力をあますことなく伝えてくれます。
最小限に抑えられたセリフに反比例して、映像が多くを物語ります。
アンバランスな体つき、奇妙な動き、個性的な登場人物、そして監督が敬愛するジャック・タチやチャールズ・チャップリンら50年代を彩るさまざまな愛にあふれたオマージュは遊び心たっぷり。
たくさんの仕掛けに、心が躍ります。
カリカチュアライズされたその画風は、ユーモアとグロテスクの一線をぎりぎりのところで保っています。
そしてなによりも、わたしたちの目を奪うクレイジーな作画に反して、愛というピュアな感情がおばあちゃんとブルーノを突き動かしていく。
その相対するふたつの要素が合わさることでまるで体じゅうをじんわり回る毒のようにわたしたちをベルヴィルの世界に引き込んでいきます。
この映画に登場する伝説の三つ子ミュージシャンの老婆たちが歌う“Belleville Rendez-Vous”は一度聴いたら頭から離れませんし、愛犬ブルーノは、特別賢くもなくちょっと間が抜けているのですがどんどん愛おしくなっていきます。
いま、20年という時を経ても、けっして色褪せることのない魅力たっぷりなアニメーションはぜひ劇場で!

 

執筆:川添結生氏(京都シネマ)



「ベルヴィル・ランデブー」
7/23公開 (原題)Les Triplettes de Belleville
2002/仏・他/80分
監督:シルヴァン・ショメ
©Les Armateurs / Production Champion Vivi Film / France 3 Cinéma / RGP France / Sylvian Chomet


※上映スケジュールは京都シネマHPをご確認ください


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