【ことしるべおでかけクラブ スタッフおススメスポットvol.23】京都シネマSTAFFの今月のオススメ「世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ」

「京都シネマSTAFFの今月のオススメ」では、京都シネマで公開される毎月の上映作の中から、
京都シネマスタッフによる一押し作品をご紹介します。
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世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ

心豊かな暮らしを実践する第40代ウルグアイ大統領を追いかけたパワフルな愛にあふれるドキュメンタリー。

国民には“ペペ”という愛称で親しまれ、貧困生活を送る人々のために給料の9割を寄付し、市井の人々と同じように暮らしつづける第40代ウルグアイ大統領ホセ・ムヒカ。
彼に感銘を受けた巨匠エミール・クストリッツァ監督が、2014年から大統領として任期満了する2016年までを追いかけ、功績と意外な過去を掘り起こします。

2012年ブラジルのリオデジャネイロで開催された「国連持続可能な開発会議」で、最後のプレゼンターだった小国ウルグアイの第40代大統領ホセ・ムヒカのスピーチに感銘を受けた人は多いのではないでしょうか。
環境危機を引き起こしている真の原因は消費至上主義にあるという指摘に続き、「発展は人類に幸福をもたらすものでなくてはならない。幸福が私たちのもっとも大切なものだから」と締めくくりました。
人口345万人、人より牛が多い南米のちいさな国の大統領の名は、 “世界一貧しい大統領”というキャッチフレーズとともに、このスピーチで世界中に知れ渡ったのです。

まんまるな体とやさしく垂れ下がったつぶらな瞳のホセ・ムヒカという人間にとても惹かれます。
旧型のフォルクスワーゲンに乗って職務に赴き、大統領官邸ではなく二間の農家に住み続けています。
そして、職務の合間にはトラクターに乗って農業に勤しむ。
そんな姿を見ていると、まるで聖人かのように見えますが、過去に軍事政権時代のウルグアイで、非合法政治組織「トゥパマロス」の一員として銀行強盗を働いたり誘拐したりとゲリラ活動に従事したこともサラっと言いのけます。
13年近くの投獄から解放されたのは49歳のときでした。
また、投獄のあいだ、離れ離れになってしまった生涯のパートナー、ルシア・トポランスキーとの関係にもスポットが当てられます。

彼の意外な過去やパートナーとの歴史を掘り下げると、彼は聖人でもヒーローでもなく、わたしたちと同じ人間なのだということに気づきます。
間違いを犯すことはあっても、世界をよりよくしたいと強く思う信念と情熱に基づいた内なる炎、そしてわかりやすい言葉遣いが、わたしたちの心にまっすぐ突き刺さるのでしょう。
波乱に満ちた人生の終盤にさしかかった彼の言葉にそっと耳を傾けてほしいと思います。 

執筆:川添結生氏(京都シネマ)



世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ
(原題)El Pepe, Una Vida Suprema 
2018/アルゼンチン、他/74分 
監督:エミール・クストリッツァ 
©CAPITAL INTELECTUAL S.A, RASTA INTERNATIONAL, MOE
公式HP:https://pepe-movie.com/

【上映スケジュール】
3月28日(土)~4月3日(金) 10:05~、14:05~ 
~4月24日まで上映予定 

※詳細は京都シネマHPでご確認ください


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