【ことしるべおでかけクラブ スタッフおススメスポットvol.20】京都シネマSTAFFの今月のオススメ「テルアビブ・オン・ファイア」

【ことしるべおでかけクラブ スタッフおススメスポットvol.20】京都シネマSTAFFの今月のオススメ「テルアビブ・オン・ファイア」

「京都シネマSTAFFの今月のオススメ」では、京都シネマで公開される毎月の上映作の中から、
京都シネマスタッフによる一押し作品をご紹介します。
2月のオススメ作品はこちら!

テルアビブ・オン・ファイア

 

パレスチナとイスラエルの現実を下敷きに、ユーモアで共生をはかる笑撃コメディ。

昨今、トランプ大統領によるアメリカ大使館移転の発言によってふたたび注目されたエルサレム。
現在もまだ解決をみず、深刻な国際問題となっているパレスチナ問題を、紛争や爆撃ではなくテレビ番組の制作現場を舞台に、
サスペンスとユーモアの絶妙なコントラストで軽快に描いてみせたのが、今回紹介する『テルアビブ・オン・ファイア』です。

エルサレムに住むパレスチナ人の主人公サラームは、TVドラマ「テルアビブ・オン・ファイア」の現場で働き、雑務やヘブライ語の言語指導をしています。
ある日、仕事が終わった彼は、エルサレムに戻るためにいつものように検問所へと車で向かうのですが、うっかりと口を滑らしてしまったがために不審者とみなされ、軍司令官アッシのもとへ連行されます。
イスラエル人にも人気のあるドラマ「テルアビブ・オン・ファイア」の脚本家だと嘘をつき、窮地を逃れようとしますが、妻がドラマの大ファンだったアッシは、自分のアイデアを作品に取り込むように要求。
困りながらも、アッシのアイデアが採用され、偶然にも脚本家に出世したサラームでしたが、ドラマ終盤に近付くと、結末をめぐってイスラエス人のアッシとパレスチナ人たち制作陣のあいだで板挟みになってしまいます。

サラームは、争いのなかでいまだに自分をみつけるのに苦悩する青年です。
行き詰まった彼が相談しにいくのは、イスラエル人であるアッシであり、ふたりが検問所のちいさな部屋のなかで一緒に脚本を考えるシーンはふたりが友だちかのように描かれます。
そして、制作陣側であるパレスチナ人たちの反発を受けて右往左往します。
最初は頼りない青年ですが徐々に脚本家として自信がつくことによってアッシから強要されるバラ色の結末が不可能であることに気づき、混乱と苦悩に直面しながらも、なんとか着地点を掴もうと奮闘していきます。
占領者であるアッシと占領される側であるサラームが対等に立つ瞬間、それこそが、対立関係を修復する唯一の手段なのだと思い知らされます。
さて、彼が考え出した笑撃の結末はぜひ劇場でご覧ください。

 

執筆:川添結生氏(京都シネマ)



テルアビブ・オン・ファイア 
(原題)Tel Aviv on Fire
2018/ルクセンブルク、他/97分/
監督:サメフ・ゾアビ
出演:カイス・ナシェフ、ヤニブ・ビトン、マイサ・アブドゥ・エルハディ、ルブナ・アザバル
ⒸSamsa Film – TS Productions – Lama Films – Films From There – Artemis Productions C623
公式HP:http://www.at-e.co.jp/film/telavivonfire/

【上映スケジュール】
2月1日~7日    12:20~,16:20~
2月8日~14日  20:45~
2月15日~21日 18:35~   

※詳細は京都シネマHPでご確認ください


京都シネマは、四条烏丸にある複合商業施設「COCON烏丸」の3階にあるミニシアターです。
日本をはじめ欧米、アジアなど世界各国の良質な映画を3スクリーンで上映しています。
問い合わせ:075-353-4723
HP:https://www.kyotocinema.jp/