「京都シネマSTAFFの今月のオススメ」では、京都シネマで公開される毎月の上映作の中から、
京都シネマスタッフによる一押し作品をご紹介します。
11月のオススメ作品はこちら!
天才たちの頭の中 世界を面白くする107のヒント
“クリエイティビティ”について30年以上答えを追い求めるドイツ人監督の旅。
“Why are you creative?”「あなたはなぜクリエイティブなのですか?」。
BMW、フォルクスワーゲンといった世界の一流企業のコマーシャル製作に携わり、ドキュメンタリー作家としても活躍するハーマン・ヴァスケ監督は長年このシンプルな質問を問い続けています。
「自身のアイデアを抽象的なものから実態のあるものに変化させるものは何なのか?」と考え抜いた果てに辿り着いたのが、冒頭の問だったのです。
ヴァスケ監督はカメラとスケッチブックを担いで世界中を旅し、1000人以上に取材を行いました。
映画では膨大なインタビューの中から107人を厳選し、今は亡きデヴィッド・ボウイやソ連最後の最高指導者ミハイル・ゴルバチョフ、物理学者スティーヴン・ホーキング博士らが登場します。
映画界からは、クエンティン・タランティーノ監督やペドロ・アルモドバル監督、ジム・ジャームッシュ監督、ヴィム・ヴェンダース監督、エミール・クストリッツァ監督、スパイク・リー監督、デヴィッド・リンチ監督など錚々たる巨匠たちが“Why are you creative?”に対し、映画同様に個性たっぷりにおのれの“クリエイティブ”論を語ってくれます。
その中でも特に印象に残ったのがミヒャエル・ハネケ監督の言葉。
「なぜあなたは創造的なのですか」といういつもの質問に対し、一瞬も躊躇することなく「ムカデになぜ歩くか尋ねたらダメだ。枝から落ちてしまう」と即答したのです。
面食らったような顔で言葉に詰まったり、はじかれたように爆笑したり、難しい顔をして考え込んでしまったりと、やはり世界中の天才たちにとっても一筋縄ではいかないこの問いかけに対するひとつの非常に明快な回答を得たシーンでした。
私たちはアイデアは何も語らず、内に秘めておく方がいいと教えられてきました。
これは考え方の相違や逸脱が奨励されていない日本社会において特に顕著な傾向です。
学校や大学、企業のほとんどは私たちのクリエイティブな精神を抹殺します。
しかしこの映画は私たちの創造性を揺り起こし、もっと創造的でいられるようなヒントを与えてくれます。
それはあなたはあなたでいいという大いなる信任に他なりません。
執筆:谷口正樹氏(京都シネマ副支配人)
天才たちの頭の中 世界を面白くする107のヒント
(原題)Why Are We Creative?
R15+/2018/ドイツ/88分
監督:ハーマン・ヴァスケ
©2018 Emotional Network
公式HP:http://tensai-atama.com/
【上映スケジュール】
11月2日~8日 9:40~、13:50~
11月9日~15日 14:10~、17:10~
11月16日~22日 19:10~、21:05~
11月23日~29日 17:20~
11月29日上映終了
※詳細は京都シネマHPでご確認ください
京都シネマは、四条烏丸にある複合商業施設「COCON烏丸」の3階にあるミニシアターです。
日本をはじめ欧米、アジアなど世界各国の良質な映画を3スクリーンで上映しています。
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