「京都シネマSTAFFの今月のオススメ」では、京都シネマで公開される毎月の上映作の中から、
京都シネマスタッフによる一押し作品をご紹介します。
9月のオススメ作品はこちら!
ボサノヴァの伝説にして神さまをめぐる旅ドキュメンタリー。
誰もが知っている名曲の数々を生み出した男は、2008年を最後に人前から姿を消し、引きこもっていると言われている。
ドイツ人作家とフランス人監督が時空を超えて、ジョアンの姿をもとめてリオの街をさまよい歩く。
「イパネマの娘 」、「想いあふれて」、「デサフィナード」など、ボサノヴァの古典といえるこれらの名曲の数々は50年代の終わりから世界の半数の人々を魅了し続けてきました。
世界中のバーやナイトクラブ、ラジオでこうした音楽を聴くことができます。
ボサノヴァが持つオリジナルの音とその複雑なリズムは、ジョアン・ジルベルトが演奏者として生み出し、事実上たった一人でこの音楽のジャンルを作りあげたと言われています。
その声はとても甘く、ギターのリズムは誰も耳にしたことがないものでした。
2008年のライブを最後に世間から姿を消し、隠遁生活を送る彼は完璧主義者で、毎日12時間ギターを弾き続けて過ごしていると言われています。
この十数年語られるいくつもの謎や伝説がジョアン・ジルベルトをさらにミステリアスな存在にしています。
そう、同じく世界から自分を閉じたグレン・グルードやサリンジャーのように。
この映画はふたつのストーリーラインがあります。
ドイツ人ジャーナリストであるマーク・フィッシャーがジョアン・ジルベルトを探し求める旅を記録し、自らの命を絶つまでと、
本作の監督であるジョルジュ・ガショがマークの探求を引き継ぎ彼と同じようにリオ・デ・ジャネイロの街をさまようパートです。
どちらも、失われたもの、壊れてしまったもの、美しさへのノスタルジーに突き動かされているように見えます。
ブラジル音楽への情熱と愛に満ちたこの旅は、メランコリックなボサノヴァのメロディと溶け合い、ふたりの憧憬を観客は容易に共有することができるでしょう。
それはスクリーンを前にして自分自身と向き合うということなのかもしれません。
果たしてジョアン・ジルベルトは姿を現してくれるのでしょうか…。
執筆:谷口正樹氏(京都シネマ副支配人)
「ジョアン・ジルベルトを探して」
原題:Where are you, João Gilberto
2018/スイス、他/111分
監督:ジョルジュ・ガショ
©Gachot Films/Idéale Audience/Neos Film 2018
作品公式HP:http://joao-movie.com/
【上映スケジュール】
9月21日(土)~9月27日(金)11:25~、16:10~
9月28日(土)~10月4日(金)13:30~
10月11日終了予定、10月5日以降の時間未定
※詳細は京都シネマHPでご確認ください
京都シネマは、四条烏丸にある複合商業施設「COCON烏丸」の3階にあるミニシアターです。
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