牧谿(もっけい/生没年不明)は、宋末元初の僧侶であり優れた水墨画家でした。
道釈人物、山水、花鳥、龍虎などの幅広い画題を巧みな階調の水墨技法で描いていました。
文人画隆盛の中で、中国では顧みられなくなっていた牧谿の水墨画ですが、その花鳥山水画の空気感は、日本の禅宗僧侶や茶禅の数奇には大いに評価され、禅僧画家として最上級の評価を受けました。
多くの画家がその影響を受け、長谷川等伯(1539-1610)は「松林図屏風」(国宝)「枯木猿猴図」(重要文化財)など、牧谿の影響を大きく受けた作品を残しています。
牧谿は、花卉(かき)雑画と呼ばれる果実、草花などの身近な画題も手がけ、本二図の他にも、「芙蓉図(ふようず)」、「蘿匐蕪菁図(らふくぶせいず)」などが伝わります。
「柿図」「栗図」とも、実や葉の形態には誇張と簡略化が著しい一方、手際のよい闊筆な運筆で描き出されており、この種の表現が牧谿の墨戯(ぼくぎ)の描法として定着し、繰り返し描かれていたことをうかがわせます。
重要⽂化財 柿・栗図 伝牧谿筆
南宋時代 13 世紀
⼤徳寺⿓光院蔵 4/9〜5/6 展⽰
その独特な技法で表現された本作は、照明の落とした展示室で湿潤をも実感させます。
展示は5月6日まで。お見逃し無く!!!
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