4月27日(火)より臨時休館となった細見美術館。
「日本の色ー吉岡幸雄の仕事と蒐集ー」展は、会期延長に伴い展示替えを行ったばかりでした。
展示替え後の模様をレポートします。
特別展「日本の色ー吉岡幸雄の仕事と蒐集ー」
展示替え後の会場紹介
源氏物語の衣裳1点と蒐集品約10点などが新たに展示されました。これまで以上に吉岡幸雄が探求し続けた日本の色の世界がうかがえます。
『日本の色』辞典色標本屛風
展示室は見渡す限りの色彩。様々な「日本の色」が、視界いっぱいに飛び込んできます。
◇展示風景紹介◇
新たに加えられた作品をはじめ、展示室の模様をお届けします。
『源氏物語』「絵合」麹塵(きくじん)の袍
今回新たに加えられた本作は、源氏物語の絵合の段をイメージして製作されました。冷泉帝(源氏と藤壺の間に生まれた皇子)が禁色であるこの麹塵色の袍(上着)を着て、絵合をご覧になっておられるという設定。
『古裂ネクタイ』
野蚕絹・古渡更紗 18-19世紀
こちらも新たに加えられた作品。ムガシルクのスタンドカラーシャツを愛用していたという吉岡は、父・常雄の影響もあり、大学生の頃からネクタイにも興味を持っていたそう。京都の高級染織品を扱う店に出入りし、裂の目利きである主人から様々な蘊蓄を教わって以来、江戸時代の大名や茶人が好んだインド更紗の赤地の木綿古裂を好みました。吉岡のおしゃれ心を垣間見ることのできる作品です。
◇王朝文学の色◇
『桜のかさね』
直衣 花の丸紋生絹【紅花】/下襲 葡萄染(したがさね えびぞめ)【紫根×茜】/指貫 香色【丁子】
『桜のかさね』
袿(うちき)【紅花】/細長【生絹(すずし)】
濃い紅に白を重ねた色合いが、透明感のある桜の花びらのようです。
右から、空蝉、明石の姫君、明石の上、紫の上、末摘花、玉鬘、花散里の衣裳のかさねが並びます。
吉岡は登場人物の衣裳の色を再現するにあたり、源氏物語を原文で読み、色に関する記述におびただしい数の付箋を貼り、自分の考えを書き込んでいたとのこと。吉岡の色にかける情熱が、作品の端々からうかがえます。
◇古裂の美-いにしえをたずねて◇
展示室の様子
左『貝桶模様小袖裂』右『鶴菱に伏蝶丸模様小袖裂』
綸子地 絞り・刺繍 18-19世紀 / 綸子地 絞り 18-19世紀
『沢潟に葵模様小袖裂』
平絹地 白上げ・友禅染 18世紀
『古代印度更紗裂』
赤星家旧蔵 99枚のうち 木綿 17~18世紀
※細見美術館は4月27日(火)~当面の間臨時休館
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