第一章より~古備前「徳利」

第一章より~古備前「徳利」

酒器の中でも備前の人気は高く、特に優れたものが多い徳利。


徳利 銘 トシワスレ
桃山時代 16-17世紀
h15.8 w8.3 d8.4
(金重 陶陽 旧蔵)

備前徳利中、声価の高い名品。細長頸(鶴首)で、ろくろ水挽き成形後ヘラで丁寧に整えられています。よく焼き締まり、下蕪の胴部に桟切(さんぎり)が村雲のようにめぐり、後ろにまわると大きな石ハゼ(いしはぜ)。美しい緋色とあわせ、四方八方より見どころのある徳利です。



緋襷鶴首徳利 銘 一声
桃山時代 16-17世紀
h21.4 d10.8
狸庵文庫美術館蔵


緋襷鶴首徳利
桃山時代 16-17世紀
h22.0 d10.8
MIHO MUSEUM蔵


細長頸(鶴首)に下蕪形をなす、やや大ぶりのこちらの徳利。瀬戸内海直島沖の沈没船からの引き揚げ品であり、伝世品にはない新発見の器形として注目されました。並べると双子の様に見える二つの徳利。展示室でぜひご覧ください。
どちらも高台内に「一」の窯印(かまじるし)が刻まれています。



知っているとなお面白い
◆◆◆◆◆用語解説◆◆◆◆◆

桟切(さんぎり)-Sangiri
備前焼に見られる窯変のひとつで、器肌の一部が還元状態となり、黒味を帯びた青灰色を呈するもの。青灰色と赤い窯変部分とのコントラストが見どころとされ珍重された。

徳利 銘 トシワスレ(桟切部分)
桃山時代

石ハゼ(いしはぜ)-Ishihaze
陶器の胎土に混じった大粒の砂石が、焼成に際して焼はぜて、素地からはじけ出たようにみえるものをいう。

徳利(石ハゼ部分)
桃山時代

窯印(かまじるし)-Kamajirushi
製品や窯道具に刻まれた簡単な選別標識。複数の工人の製品を同一の窯で焼成する際に、各自の製品を区別する目的でつけられたもの。

緋襷鶴首徳利 銘 一声(窯印)
桃山時代