「花鳥風月展」ギャラリートーク報告vol.3

「花鳥風月展」ギャラリートーク報告vol.3

美術館「えき」KYOTO(ジェイアール京都伊勢丹7階隣接)にて1月2日(水)より開幕した「京都市美術館所蔵品展 花鳥風月」。
本展覧会では、2019年度中のリニューアルオープンに向け、現在本館が改装中である京都市美術館所蔵の数ある珠玉の作品の中から新春にふさわしく晴れやかな「花鳥風月」をテーマに日本画・洋画・工芸作品36点をご紹介しています。

1月13日(日)には、山田 諭氏(京都市美術館 学芸課長)によるギャラリートークを開催いたしました!
お話いただいた作品の鑑賞ポイントをご紹介します。
花鳥画には松に鶴、梅に鶯など〇に〇という定型があります。本展の鑑賞のポイントとして近現代の作家が定型を踏まえたうえで、どのように花鳥風月を表現していったのかに注目してみましょう。例えば、金島桂華《叢》はホロホロ鳥やブーゲンビリアなど日本に渡来してきたモチーフを多く描いていますね。大正期における新しい花鳥画のひとつといえるでしょう。」

「本展には福田平八郎《白梅》、櫻井忠剛《梅花図》、村瀬玉田《月下白梅眠雀図》と3つの梅モチーフの作品が出品されています。それぞれの梅の描き方に注目し、見比べてみましょう。また、中村鵬生《翅音は鶏やアヒルが羽をばたつかせながら騒いでいる様子を表したユーモラスな作品です。さて作品のなかに鳥は何羽いるでしょう。……おそらく5羽ですが、本当にそうなのか。同じ1羽が羽をばたつかせている様子をコマ送りのように描いているとしたら?そんなことを考えながら見ると楽しくなってきませんか?」

竹内栖鳳《驟雨一過》は栖鳳の代表作のひとつ。京都市美術館として大切な作品のひとつです。自然観察を踏まえながら瞬間を捉え、見事な筆遣いで表現されています。そして、小野竹喬《沼》と伊藤久三郎《合歓の木》は、いずれも風を表現しています。作家たちがかたちのないものをどのようにかたちにしているのか、日本画と洋画で違いはどこにあるのか。じっくりと見比べてみましょう。

最後に、「作品を見ながら、描かれたまたは表現された情景を楽しんでみましょう。また、作家は作品のなかにいろいろな工夫を施しています。その工夫を探しながら鑑賞すると愉しみ方が広がります。」と本展の愉しみ方もお話いただきました。

1月14日(月・祝)の午後2時からは、今森光彦氏(写真家)のギャラリートークが開催されました。ギャラリートークの様子をこの特集内で紹介してまいります。

会期も残りわずか!ご来館、お待ちしております!