【ことしるべ美術クラブ スタッフおすすめのアートスポットVol.334】art space co-jin 「Dub Dub Draw」

art space co-jin
Dub Dub Draw
2025/9/3-11/30

京都・荒神口にあるギャラリー「art space oo-jin」にて、木村全彦・小林譲治・舟木伸夫の3名の作品を紹介する展示が開催されています。

音楽用語において「Dub」とは、ダビングに由来し、オリジナル音源にエコーなどの処理をした楽曲形態を指します。
3人に共通される反復することや重ねる技法などを「Dub」と捉え、そこに描画することを組み合わせた「Dub Dub Draw」をタイトルにしました。

主に色鉛筆を使い、時には紙が破れるほどの力強い筆圧で生み出される木村の作品は、随所に楔形の文様が現れ、ミステリアスな魅力を放ちます。その楔形は、何色もの組み合わせによって視覚混合を生み出し、鑑賞者の視線を一箇所に留まらず浮遊させ、何度も感覚が更新され続けます。作品は国内外での評価も高く、教科書に掲載されるなどし、多くの注目を浴びています。

舟木は乗り物や動物などを油性マジックで彩色を施し、その周りに自身の氏名やモティーフの名称などを書き込んでいたが、近年ではボールペンを駆使し文字を主体とした描き方に推移してきました。紙という限られた2次元のなかに数字や文字を繰り返すことで生まれる残響で空間を満たしていきます。

一方、何か意図した形の集積ではないと語り、その細やかな線で画面を構成していくのは小林。どこか素朴でおおらかな空気感を持つ作品を多く制作するなかで、時に鋭く底知れぬ景色を増幅させたような作品に出会うことがあります。細やかなタッチは浮遊感のあるグルーヴとなって新たな眺望を見せています。

新鮮な驚きと共鳴を誘う空間を、どうぞこの機会にご堪能ください。

art space co-jinn 展覧会紹介ページより:https://co-jin.jp/exhibition/5262/

《会場風景》

木村全彦さんの作品。色鉛筆で力強く塗りこめられた画面には「キュニキュニ」の愛称で呼ばれる独特な楔形(くさびがた)の文様が見られます。遠くから、近くから、じっくりと眺めていただきたい作品群です。

小林譲治さんの作品。京都の観光地や思い出の場所などをよく描いているそうです。色鉛筆やボールペンで幾度も重ねられた繊細なタッチが印象的です。

舟木伸夫さんの作品。独特なフォルムの図像とその周囲を書かれた(時には埋め尽くすほどの)文字情報で構成された画面が魅力的です。

 

出展作家 木村全彦(きむらまさひこ)
小林譲治(こばやしじょうじ)
舟木伸夫(ふなきのぶお)
会場 art space co-jin( 京都市上京区河原町通荒神口上ル宮垣町83 レ・フレール 1階)
会期 2025年9月3日(水)-11月30日(日)*月・火曜定休
時間 10:00-18:00 
料金 無料
主催 art space co-jin https://co-jin.jp/
きょうと障害者文化芸術推進機構