【ことしるべ美術クラブ スタッフおすすめのアートスポットVol.314】姫路市立美術館「隈研吾流オノマトペで見る建築 姫路編」

「姫路の三大建築美の真髄と可能性~姫路城、圓教寺そして美術館」
本展の根幹をなすこのテーマを元に、東京オリンピックの新国立競技場の設計者であり、今や世界中を飛び回って活躍する建築家・隈研吾氏が出したコンセプト。
それは、姫路城は「ツンツン」、圓教寺は「パラパラ」、美術館は「コツコツ」というオノマトペによるものでした。

「ツンツン」 V&A Dundee ©隈研吾建築都市設計事務所

この「オノマトペ」は、およそ建築とはかけ離れた言葉のように感じますが、日本文化の中で使われてきた、ある種固有の言葉であり、物事を感覚的に、しかし共感をもって理解し受け止めることのできる表現といえます。隈氏は、このオノマトペを自身の事務所でのやりとりで頻繁に使うといいます。それは、建築を塊ではなく粒子として、そして、柔らかい周囲との関係性の中で捉えようとする、これまで隈氏が自身の建築論の中で試みてきた要素が詰まっているからではないでしょうか。

「パラパラ」 アオーレ長岡  ©隈研吾建築都市設計事務所

本展では、姫路城、圓教寺、美術館を、オノマトペで表現し紹介することで、それらの建築をヒューマンスケールで捉え直し、また、そこから連想する隈氏自身の建築作品を、模型や写真を通して紹介します。
また、本展は、圓教寺での《くぎくも》の展示や「はづき茶屋プロジェクト」、12月7日より開催のコレクションミーツ展ともつながりつつ、さらに、建築マップの作成やツアーの実施によって街と人と有機的なつながりを持ちながら展開します。

「コツコツ」 北京 前門  ©隈研吾建築都市設計事務所

 

●関連イベント情報●

※イベントの最新情報、申込方法等は、姫路市立美術館HPのイベントページでご確認ください。4を除き本展入場券が必要です。

1 ワークショップ「美術館に休憩所をつくろう!」
姫路市立美術館には「休憩所」がありません。本展の期間中、人々がゆっくり休めるような場所を、参加者皆で考えます。
日時:9月28日(土)午後1時30分~午後4時30分
場所:姫路市立美術館
講師:隈研吾建築都市設計事務所スタッフ
定員:15名程度(応募多数の場合は抽選)
締切:9月16日(月)

2 講演会「アートから見る隈研吾」
金沢21世紀美術館、第57回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館、あいちトリエンナーレ2019のキュレーターなどを歴任した鷲田めるろ氏が、アートの視点から隈研吾について語ります。
日時:9月29日(日)午後2時~午後3時30分
場所:姫路市立美術館 2階 講堂
講師:鷲田めるろ氏(十和田市現代美術館館長)
定員:80名程度(応募多数の場合は抽選)
締切:9月16日(月)

3 オノマトペでめぐる建築 姫路城
「隈研吾流オノマトペで見る建築 姫路編」を鑑賞後、文化財建築の専門家による視点から姫路城の建築の魅力や特徴についてご案内します。
日時:10月19日(土)午後1時30分から午後4時30分
場所:姫路市立美術館企画展示室、姫路城
講師:福田剛史(姫路市文化財課職員)
定員:15名程度(応募多数の場合は抽選)
備考:姫路城入城券が必要
締切:10月7日(月)

4 ミュージアム建築ツアー
それぞれ近代から現代にかけての名建築と言われる各館。その「推し」部分を各館の職員が語ります。
日時:10月26日(土)午後1時~午後5時
講師:姫路市立美術館、兵庫県立歴史博物館・姫路文学館 学芸員
定員:20名程度(応募多数の場合は抽選)
備考:兵庫県立歴史博物館特別展入場券が必要
締切:10月14日(月)

5 文化財を支える現場を見るツアー ー 瓦の工場見学
本展を鑑賞後、日本伝統のいぶし瓦を守り続ける窯元で、姫路城の修復に用いられる瓦の製造も手掛けた光洋製瓦株式会社の工房を見学します。
日時:11月2日(土)午後1時30分から午後5時まで
講師:笹田奈都子氏(光洋製瓦株式会社代表取締役)
定員:15名程度(応募多数の場合は抽選)
締切:10月21日(月)

「隈研吾流オノマトペで見る建築 姫路編」開催概要

会場:姫路市立美術館 企画展示室
会期:2024年9月21日(土)~11月17日(日)
開場時間:10 :00~17:00 (最終入場 16 : 30 )
休館日:月曜日(9/23, 10/14, 11/4 は開館) 9/24, 10/15, 11/5 
入場料:一般1,400(1,200)円 高大生 800(600)円 小中生 400(200)円 ※( )内は20人以上の団体料金
主催:姫路市立美術館   HP:https://www.city.himeji.lg.jp/art/
企画協力:隈研吾建築都市設計事務所
後援:朝日新聞姫路支局、神戸新聞社、産経新聞社神戸総局、サンテレビジョン、播磨時報社、播磨リビング新聞社、姫路ケーブルテレビ、姫路シティFM 21、毎日新聞姫路支局、読売新聞姫路支局、ラジオ関西(50音順)

隈 研吾 ©J.C.Carbonne 

隈 研吾 アーティストプロフィール
1954年生まれ。東京大学大学院建築学専攻修了。東京大学教授を経て、現在、東京大学特別教授・名誉教授。
1964年東京オリンピック時に見た丹下健三の代々木屋内競技場に衝撃を受け、幼少期より建築家を目指す。大学では、原広司、内田祥哉に師事し、大学院時代に、アフリカのサハラ砂漠を横断し、集落の調査を行い、集落の美と力にめざめる。コロンビア大学客員研究員を経て、1990年、隈研吾建築都市設計事務所を設立。これまで40ヵ国を超す国々で建築を設計し、日本建築学会賞、フィンランドより国際木の建築賞、イタリアより国際石の建築賞、他、国内外でさまざまな賞を受けている。
その土地の環境、文化に溶け込む建築を目指し、ヒューマンスケールのやさしく、やわらかなデザインを提案している。また、コンクリートや鉄に代わる新しい素材の探求を通じて、工業化社会の後の建築のあり方を追求している。