【ことしるべ美術クラブ スタッフおすすめのアートスポットVol.262】宮永愛子 Aiko Miyanaga solo exhibition

⁂ 宮永愛子 Aiko Miyanaga solo exhibition ⁂


宮永愛子は1974年京都市生まれ。1999 年京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)芸術学部美術科彫刻コース卒業、2008年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程修了。日用品をナフタリンでかたどったオブジェや、塩や葉脈、陶器の貫入音を使ったインスタレーションなど、気配の痕跡を用いて時を視覚化する作品で注目を集める作家です。常温で昇華するナフタリンを使ったオブジェは代表的なイメージのひとつで、それは時の経過により形を変えていき、ナフタリンはケースの中で再結晶ししなやかに存在を続けていきます。



約16年ぶりに活動の拠点を生まれ育った京都へ戻した彼女は、新たな作品の制作に取り組んできました。京都という街に暮らすと、変わらず脈々と受け継がれているものの存在に気づかされることがあります。宮永の実家である曾祖父の開いた宮永東山窯の陶房には、当時使われていた多くの石膏型が今も残っています。幼い頃からいつもそこにあって、気に留めていなかった型というものの存在。彼女は「その型に在るくぼみにはどんな景色が眠っているのだろう」と、思いを馳せます。そして、失われた型のパーツはそのままに、くぼみをガラスで満たし、その不在(空間)を形にして、取り出してみました。「それは過去に会いに行くような感覚」と宮永は語ります。かつて型から生み出されていた陶彫は、現存するものはもうほとんどありません。ですが、手に伝わる作品の重みは、そこに確かな歴史が眠っていることを感じさせてくれます。

 

-・-・展示作品(一部)紹介・-・-


宮永愛子《 waiting for awakening -wall clock- 》
ナフタリン、樹脂、ミクストメディア 64x40x22cm, 2018
Ⓒ MIYANAGA Aiko, Courtesy of Mizuma Art Gallery

 


《くぼみに眠る海 -猫-》2023年
ガラス、空気(東山窯の石膏型を使用)
撮影:宮島怪
Ⓒ MIYANAGA Aiko, Courtesy of Mizuma Art Gallery

 


《留め石》2020年
ガラス、呼気、縄
写真提供:ニューカラー写真印刷
Ⓒ MIYANAGA Aiko, Courtesy of Mizuma Art Gallery

 

~展覧会情報~

会期 7月22日(土)~8月5日(土)
時間 12時~18時
休廊日 日・月・祝祭日
会場 imura art gallery(京都市左京区丸太町通川端東入東丸太町31)

 

 


-・-・関連展示・-・-


「宮永愛子—海をよむ」

ZENBI-鍵善良房-KAGIZEN ART MUSEUM
会期: 2023.06.03(土) ~ 2023.08.27 (日)
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