【ことしるべ美術クラブ スタッフおススメのアートスポット Vol.240】景聴園 × 蘆花浅水荘 舟をつながず―不繋之舟

【ことしるべ美術クラブ スタッフおススメのアートスポット Vol.240】景聴園 × 蘆花浅水荘 舟をつながず―不繋之舟

景聴園 × 蘆花浅水荘
舟をつながず―不繋之舟

4月29日(土)~5月14日(日)
【前期】予約制 「放舟―ふねをはなつ」 4月29日(土)~5月7日(日)
【後期】自由入場 「風通―かぜとおる」 5月9日(火)~5月14日(日)

明治から大正にかけて京都画壇で活躍した日本画家・山元春挙の別荘兼アトリエとして知られる蘆花浅水荘にて、現代の日本画グループ・景聴園(けいちょうえん)が、”絵とともに過ごすひととき”を手引きし、蘆花浅水荘に流れるゆるやかな時間へと誘う企画を開催します。

会期 2023年4月29日(土)~5月14日(日) ※5月8日休館
【前期】予約制 「放舟―ふねをはなつ」 4月29日(土)~5月7日(日)
    ※2時間入替制(各回定員10名)。ご予約方法の詳細は景聴園HPをご覧ください。
【後期】自由入場 「風通―かぜとおる」 5月9日(火)~5月14日(日)
会場 蘆花浅水荘
時間 10時~18時(最終日は17時まで)
料金 【前期】 一般/2000円 大学生/1000円 高・中・小学生/300円 未就学児/無料
【後期】 一般・大学生/700円 高・中・小学生/300円 未就学児/無料
主催 景聴園、蘆花浅水荘

◆見どころ
蘆花浅水荘は、1階は居住、2階は応接間とアトリエからなる数寄屋造りを基調とした建物。
6棟の建造物があり、それぞれ「残月の間」や「竹の間」など異なる意匠が凝らされ、アトリエには春挙が愛用した画材や制作途中の下絵が当時のまま残されています。
また、庭園には船着場があり、琵琶湖へと続いていたかつての雄大な景色が偲ばれます。
緊張感すら覚える極めて洗練された空間ながらも、万客を招き入れる包容力を併せ持つ、粋で社交的な人物であった春挙その人の魅力が息づく場です。
蘆花浅水荘の名は、唐の詩人・司空曙の詩「江村即事」に由来します。
春挙の意思を受け継ぎ、本企画タイトル「舟をつながず─不繋之舟」も、ゆったりとした時間を楽しむことの大切さを詠んだこの詩の一節を元にしています。
今回の公開では、蘆花浅水荘で過ごした時間とともに描いた景聴園の作家の絵をお供に、そのタイムカプセルのような空間で漂い過ごすひとときを味わっていただきます。

 


蘆花浅水荘庭園

◆絵をみる行為の再考
その日の気候や草木のにおい、風のそよぐ音──「みる」という行為がことさら特別な体験として日常から切り離されるほどに見落とされてきた、絵をとりまく環境。
それらは本来、絵とわたしたちが交わすことのできる無数のコミュニケーションの在り方です。
対峙せずとも、絵の棲家にただ身を置き、時折その気配にそっと耳を傾けてみる時間もまた、絵をみる行為のひとつです。
それは、掛軸や屏風、襖絵など、多様な姿の絵すなわち多様な身体のアプローチをもって関わることのできる絵の姿を伝えてきた東洋美術ならではの、絵とのゆるやかな関係性により成り立っています。
後世の人々の多大なご尽力より今日まで守り継がれ、外観のみならず内に流れる時間までもを当時のまま留める蘆花浅水荘は、私たちが知っていた絵の姿と、そのうえに成り立つ多様な絵との関係の可能性を思い起こさせてくれる場所であるといえます。
景聴園では事前に蘆花浅水荘で3日間の日帰り合宿を実施、本企画のための新作を制作。
絵をみる行為の再考を試みると同時に、この希少な場である蘆花浅水荘の維持に向けた新たな取り組みとして、絵とともに過ごす時間の価値を提案します。
さらに、景聴園初の作品およびグッズ販売を行い、売上金の一部を蘆花浅水荘に寄付させていただきす。


蘆花浅水荘スケッチ日帰り合宿の様子

【前期】「放舟―ふねをはなつ」(予約制)
絵がほどく、時と五感。蘆花浅水荘で「景色を聴く」唯一無二のひとときへご案内。
絵は、絵描きだけのものではなく、誰もが持つ世界を知る方法。蘆花浅水荘は、移ろう自然の中に漂い、五感を澄ませるための舟のような場所。
舟頭は景聴園、櫂を取るのはあなた。そのひとときに得た極上の「余白」に、何をみて、聴いて、描こうか──。
蘆花浅水荘は、創建当時の時の流れを留める貴重な場所。
そして、今日まで春挙の意志を受け継ぎ、三代にわたり大切に継承されてきたことは奇跡的であるといえます。
今年でグループ結成11年目を迎えた景聴園では、「日本画を通して絵のあり方を考える=景色を聴く」ことを常に軸として活動を続けてきました。
本企画では、春挙が生きた時代の絵のあり方を、移ろう自然との対峙と解釈し、蘆花浅水荘に残された真に贅沢な時間の価値を提案します。
前期会期中は完全予約制(2時間入替制)、1枠10名様に限定。
景聴園の作家一人ひとりが蘆花浅水荘で過ごした時間を通して生み出した絵と、お客様をゆるやかな時間へと誘う「手引き」とともに、メンバーが直接お迎えします。
その場でお召し上がりいただける粗茶と、ささやかなお菓子もご用意。さらに、作品をご購入いただいたお客様は、販売価格から入場料を差し引かせていただきます。
水面に放たれた舟のごとく、心を放ってお過ごしいただく極上のひとときをお過ごしください。


蘆花浅水荘スケッチ日帰り合宿の様子


【後期】「風通―かぜとおる」(自由入場)
後期会期中は、ご予約不要でご覧いただけます。
春挙は、後世においても蘆花浅水荘が文化芸術を志す人々の集いの場となり、芸術活動の輪が広がることを望んでいました。
景聴園の作家が描いた絵のほか、ご来場いただいた皆様と蘆花浅水荘とのコミュニケーションの仕掛けをご用意。
春挙の想いを受け継ぎ、琵琶湖を吹き抜ける風が運んでくれるご縁をつなぐ機会となれば幸いです。
*前期・後期で作品の入替はありません。景聴園作品・グッズの販売は通期で行います。

※公式プレスリリースからの引用


【景聴園(けいちょうえん)とは】
2012年に発足した京都市立芸術大学出身の7名による現代の日本画グループ
《作家》
上坂秀明:1988生 合田徹郎:1988生 服部しほり:1988生 松平莉奈:1989生 三橋卓:1987生
いずれも京都市立芸術大学大学院修士課程 美術研究科絵画専攻日本画 修了
《キュレーション・インストレーション担当》
乃村拓郎:1986生、京都市立芸術大学大学院修士課程 美術研究科同彫刻専攻修了
《アーカイブ・テキスト担当》
古田理子:1991生、京都市立芸術大学大学院修士課程 美術研究科芸術学専攻修了

企画詳細・前期の入場予約については景聴園HPをご確認ください
https://keichoen.info/