【ことしるべ美術クラブ スタッフおススメのアートスポット!vol.232】みずのき美術館「なんたうん2023‐ワークショップ特集‐」

【ことしるべ美術クラブ スタッフおススメのアートスポット!vol.232】みずのき美術館「なんたうん2023‐ワークショップ特集‐」

みずのき美術館 
「なんたうん2023ーワークショップ特集ー」

2023.3.3-3.26(期間中の金土日祝のみ)

京都・亀岡のみずのき美術館にて展覧会「なんたうん2023 ーワークショップ特集ー」を3月26日まで開催中です。

みずのき美術館は障害者支援施設内の「みずのき絵画教室」で生まれた作品を収蔵・展示すると同時に、地域と連携した取り組みなどにも積極的に取り組まれている美術館です。
今回はみずのき美術館が亀岡市内のふたつの学校と連携して実施した4つのワークショップの記録について紹介しています。


◎亀岡市立亀岡小学校さくら学級×八木良太

美術館入ってすぐの1階では、亀岡市立亀岡小学校さくら学級と実施したワークショップの記録を展示しています。
亀岡小学校さくら学級は学内の特別支援学級で45名の児童が在籍しています。
アーティストの八木良太氏を講師に、「さくら」をテーマに「校庭の音をきく」「集めた音で楽譜をつくる」「声を録音する」「丸いアクリルを染める」「染めたアクリルを並べて写真に撮る」という全5回のワークショップを実施しました。
音・声・色など多様なアプローチによる表現に取り組んだ成果物を見ることができます。


通常は英語の学習に用いる録音機を使って、声を録音したカードを作成。実際に触れて再生することができます。

校庭や学外の施設で集めた音を楽譜化したもの。
展示室内では楽譜がランダムに照らされ、それに対応した音が流れます。

丸いアクリル板を「さくら」色に染めて、並べて写真を撮りました。
児童それぞれのこだわりなどが感じられます。


◎学びの森 サタデーパフェ「教室でこつこつ・ワクワク」

美術館の2階では、元学習塾でフリースクールの「学びの森」と連携して実施した3つのワークショップの記録を展示しています。

「教室でこつこつ・ワクワク」では紙や糸などを素材にやわらかい素材を作るアーティスト・中村潤さんを講師に、「学びの森」で普段使用している教室を会場として大きな紙を使ったワークショップを2回実施しました。
ワークショップの様子を、写真・映像・使用した素材でビジュアル的に楽しく紹介しています。


「長い紙、たらして、切って、眺めて、新しい景色」大きなロール紙やトイレットペーパーを縦横無尽に広げて、普段の教室とは違う新しい景色を作りました。

「裁縫鳥になろう」大きな紙を縫って、自分サイズの小さな落ち着く空間を作り、自分が身を置く「空間」の変化を体験しました。


◎学びの森 サタデーパフェ「畑にいるのはだあれ?」

2階奥では、亀岡市内にある、陶芸家・映像作家・ダンサー・デザイナーなどの芸術家が手作業で世話をしている葡萄農園「HANDOVER FARM」と実施したワークショップについて展示しています。
このワークショップでは実施をした大人たちの思いとは裏腹に、大人の価値観を揺るがされる、ショッキングな出来事が起こったそうで…
ワークショップを通して、大人も子供も”一緒に何かを感じる”ということについて考えさせられます。


室内を覆うような葡萄の枝が目を引きます。

HANDOVER FARM・丹下紘希さんによるワークショップについて綴ったテキスト。ぜひ、読んでみてほしいです。


◎学びの森 サタデーパフェ「秘密基地をつくろう」

2022年に亀岡に移住してきたデザイナーの小澤亜梨子さんを講師にしたワークショップでは、小澤さんの自宅兼アトリエ「アリスの家」に何を置くか考えたり、家の外壁を塗装したりしました。
小澤さんは「アリスの家」にて、子供がおやつを食べながら自由に制作ができる「3じのアトリエ」という活動を行っており、そこで作られた作品等とともに、ワークショップの様子の写真などが展示されています。
また、実際に制作することができるコーナーも設置されていて、ガラス上に描けるクレヨンで美術館の窓に自由に絵をかいたり、「雲」のシールを作って貼ったりすることもできます。


作品や写真が並びます。

実際に楽しめる制作コーナーも!

美術館の大きな窓ガラスは来場者が描いた絵でにぎやかです。


資料として、ワークショップについて振り返るインタビューを読むこともできます。
本資料はみずのき美術館のHPからもダウンロード可能です。
http://www.mizunoki-museum.org/exhibit/

今では、文化施設やビジネス、まちづくりなどさまざまな場で開催されているワークショップ。
普段できない貴重な体験をすることができる場である一方、その場での体験が重視され、後々振り返る機会や、参加者以外の他者にその内容を共有する機会などは少ないのではないでしょうか。
本展は、実施したワークショップについて「展覧会」として公開することで内容を他者にも共有し、振り返りを行うことで「ワークショップとはなんだろう」と考えさせられる展示となっていました。
これをきっかけに、今までに自分が参加したワークショップについて振り返ってみるのもよいかもしれません。

3月26日まで。金曜・土曜・日曜・祝日のみの開館です。

なんたうん2023  ーワークショップ特集ー

◆会期:2023年3月3日(金)~3月26日(日) 会期中の金曜・土曜・日曜・祝日のみ開館
◆料金:無料 
◆主催:きょうと障害者文化芸術推進機構(京都府)、社会福祉法人松花苑みずのき美術館
◆協力:学びの森、亀岡市立亀岡小学校
◆出品者・参加者:小澤亜梨子 ・中村潤・八木良太・HANDOVER FARM・学びの森・亀岡小学校さくら学級


みずのき美術館

障害者支援施設みずのきで1964年~2001年にかけて取り組まれていた「みずのき絵画教室」で生まれた作品の所蔵と展示、アールブリュットの考察を基本に据えた美術館。
所蔵作品の展示のほか、多彩なアーティストやクリエイターとのコラボレーションによる展覧会などを実施。

住所:〒621-0861 京都府亀岡市北町 18
HP:http://www.mizunoki-museum.org/