【ことしるべ美術クラブ スタッフおススメのアートスポット!vol.202】art space co-jin「OVERALL かめおか作業所の作品」

【ことしるべ美術クラブ スタッフおススメのアートスポット!vol.202】art space co-jin「OVERALL かめおか作業所の作品」

art space co-jin
OVERALL かめおか作業所の作品

京都御所東の荒神口にある小さなギャラリー「art space co-jin」。
こちらでは障害のある人の作品や表現に出会える場として展示・イベント活動などに取り組まれています。
現在は、亀岡市にある作業所「かめおか作業所」に所属するメンバー12名によるドローイング・平面作品などを紹介する展覧会「OVERALL かめおか作業所の作品」を開催中です。

かめおか作業所では、施設内の壁面やロッカーに多数の創作物が飾られているそうです。
作業所のメンバーは食品加工や袋詰め・発送作業など日々の業務の合間に、自主的に制作を行っているのだとか。

こちらは本展のタイトルのもとにもなった東島直之さんの作品群。
東島さんはしめつけのないゆとりあるサイズの胸当て付き作業ズボン”オーバーオール”を好んで描きます。
本展の担当者曰く、オーバーオールのゆったりとした着心地の良さが、かめおか作業所の日々の営みや空間の様相を表しているかのようで、作業所で生まれた多くの創作物を幅広く披露するという意味で本展を「OVERALL」と名付けたそうです。

東島さんの作品は点数がとても多く、壁一面にずらりと並ぶだけでなく、机上にも山のように積まれています。
オーバーオールを描いた作品群は、一見するとどれも同じようですが、よく見るとボタンの柄やステッチのデザインなどが異なっており、こだわりが感じられます。

こちらは西田美知子さんの絵画作品。
鮮やかな色彩が目をひきます。
実は西田さんの作品をきっかけに、かめおか作業所内で制作が活発になったそうです。
西田さんはもともと外部の絵画教室に通っていたのですが、かめおか作業所内でも自身の作品を飾るようにしたところ、他のメンバーの間でも制作活動が広まっていったのだとか。

川勝裕子さんはボールペンで人物を描きます。
何度も何度も線を重ね、最終的には描かれた人の形が分からなくなるほど真っ黒に塗りつぶしてしまうそうです。
今回は、塗りつぶす前の状態のものを展示しています。

大西正彦さんは色鉛筆で電車と野菜・果物を一つの画面に収めて描いています。
何故?と思わせる組み合わせですが、カラフルな画面が楽しいです。

 

これはラベルシールの端切れを使って作られた造形物です。
かめおか作業所ではラベルシールを貼る作業を行っており、その作業で発生した端切れを、余暇の時間の作品の素材に使用しているのだとか。
シールをはがした後の台紙も制作に活用しており、平面作品などもこの台紙に描かれているものが多いそうです。

 

他にも全12名のメンバーによる作品が並びます。

かめおか作業所のメンバーが創作活動を行う動機や目的は、リラクゼーションのため、意思伝達の手段のため、表現活動の欲求のため…と人それぞれ、多種多様です。かめおか作業所の穏やかな空気の中で、作者各々の思いから生まれた多彩な「かたち」にこの機会に出会ってみてください。

 

OVERALL かめおか作業所の作品

◆会期:2022年4月12日(火)~6月26日(日)
◆料金:無料 
◆出展作家:大西正彦 片山功次 川勝裕子 栗山達也 小林浩之 田中美代 西田美知子 東島直之 平田幸代 法貴美鈴 前田浩司 森大地
◆主催:art space co-jin(きょうと障害者文化芸術推進機構)
◆協力:社会福祉法人亀岡福祉会 かめおか作業所


art space co-jin(アートスペースコージン)

きょうと障害者文化芸術推進機構(事務局 京都府障害者支援課)が運営する、障害のある人の作品や表現に出会えるギャラリー。
絵画、写真、陶芸、インスタレーションなどさまざまな作品を展示するギャラリー活動のほか、イベント、ワークショップ、講座など、誰もが交流できる機会を創出しています。

住所:〒602-0853 京都市上京区河原町通荒神口上ル宮垣町83 レ・フレール1F
HP:https://co-jin.jp/